Month6月 2011

【書評】ネット大国中国 言論をめぐる攻防 遠藤誉 政府とネットユーザーの対立を詳細に解説

中国共産党がインターネット上で自分たちに都合の悪い情報を見えないようにするためにどのような活動をしているかをまとめている本です。インターネットの情報拡散を止めるという一見不可能ではないかと思えることでも、政府が本気出せば何とかなりそうというのがわかる内容です。

ネット大国中国――言論をめぐる攻防 (岩波新書) ネット大国中国――言論をめぐる攻防 (岩波新書)
遠藤 誉

岩波書店
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北京市インターネット宣伝管理弁公室という管理組織では、サイトを運営する企業に対して政府の意に沿わない情報を配信していないかをチェックする点数制を採用しているそうです。

今後、北京市インターネット宣伝管理弁公室は審査を強化し、命令の執行状況を記録する。1回の違反につき1点を引く。あなた方のウェブサイトに1年間分の点数として100点を与え、減点されて残りが30点にまでなった時、そのサイトを封鎖して営業停止にする。その場合、そのサイトの編集長、編集主幹ら責任ある立場の者の更迭を指示し、その名簿を作成し、再任を禁ずる。
(77ページ)

意に沿わない記事を公開し続けると、営業停止になるだけでなく、責任者んはその後の動向を逐一政府に監視されてしまうということのようです。簡単にいえば政府に目をつけられるとインターネット上から締め出されるということになります。

政府によって雇用されたサクラが世論を誘導を目的として掲示板などに書き込みを行うというネット評論員(網絡評論員)が組織化されているなど、インターネット上で民意をいかにして操るかというテーマに政府が熱心に取り組んでいることがわかる制度も紹介されています。

Google、Twitter、Facebookなどいずれも追い出されて現地の会社が同じことをしている現状を見ると、現地の会社として進出しないと難しいように思えます。雇用や情報を守るという意味でも、インフラレベルにまで普及するサービスは外資に任せないという国の方針は今後も変わらないでしょう。
政府の検閲によってIPアドレスやドメインなどでブロックされたら一発でアウトというのは非常に大きなカントリーリスクなので、進出する前の前提として、どうそこをクリアにするのかという点をはっきりさせておかないといけないですね。

【書評】70円で飛行機に乗る方法 高城剛 LCC(ローコストキャリア)の紹介とそれによる航空事情の変化

サバイバル時代の海外旅行術(高城剛)に続けて読んでみました。
タイトルにあるような安く飛行機に乗るための方法を解説するのがメインではないですが、おもに欧米の事例を中心にして空港や航空券の現状がまとめられていて参考になる本でした。

70円で飛行機に乗る方法 マイルを使わずとも超格安で旅行はできる  (宝島社新書) 70円で飛行機に乗る方法 マイルを使わずとも超格安で旅行はできる (宝島社新書)
高城 剛

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LCC(ローコストキャリア)の紹介と、LCCの普及でどう世の中が変わっているかを説明しています。LCC(Low Cost Carriar)とは格安航空会社のことで、効率化とサービスの簡素化で値段を従来よりも大幅に下げて運営しています。料金は10分の1ほどまで下がっていることもあり、燃油サーチャージを除けば数千円で使うことができます。大幅な普及によってあたかもバスのように飛行機を利用できるようになりつつあり、週末ちょっと遠出するために使うというような用途が増えているようです。

代用的なサウスウエスト航空ライアンエアーなどを事例にあげてLCCとはどのようなものかを説明していてわかりやすいです。

LCCの普及によってその利便性からハブとなる空港が各地にあらわれてきている一方で、成田空港は次第にハブとしての力を失いつつあるとのことで、その理由として以下をあげています。

1.日本の空港は滑走路の少なさによる発着数の上限が低く、すでに大手がよい枠を抑えているために新興の航空会社が入り込む余地が少ない

2.世界的に見ると他国への乗り入れでも価格の自由協定が定められつつあるが、日本は規制で価格統制がおこなわれている。JALやANAといった大手を保護する路線が明確

3.成田空港は都心部からかなり離れていて不便

4.日本でもLCCが登場したが、大手がピンポイントに重なる部分だけを値引きするなど、露骨なつぶしにかかった

5.空港の利用のためのコストが高く、それがチケット代に反映されてしまう

日本の首都圏以外の在住者が、国内線で羽田まで行き、そこから成田で国際線に乗り換えるよりも、韓国の仙川国際空港を使ったほうが早いし安いので、そちらに流れつつあるということが説明されています。日本も仙川国際空港やシンガポールのチャンギ空港のようにアジアのハブとなるための対策を取るべきだということはあきらかですが、空港の利用料や滑走路の問題はすぐに解決するものではないので、このまま地位を低下させていくことになってしまいそうだと思うと残念です。

旅行をするときにハブとなる空港を決めて、そこを中心としてLCCで往復しながら移動することで、安価に多くの場所を回るという方法は今後一般的になっていくので、そういったときにハブとして使ってもらえる空港を持てるかどうかはその国の発展に大きな影響を与えそうです。

ヨーロッパのようにLCCが普及して数千円で近隣の国に移動するのが当たり前になれば、空港の利便性は移住先を決めるうえで非常に重要な要素になりそうです。