Month1月 2012

【書評】小さくても「人」が集まる会社―有益人材集団をつくる「採用マネジメント力」 西川 幸孝

小さくても「人」が集まる会社―有益人材集団をつくる「採用マネジメント力」は、採用に力を入れている会社の事例を元に、どう採用活動を経営の軸としていくかということについてまとまっています。求める人材像を明確にして、人事戦略を構築していくことが企業の長期的な強みになるということが説明されています。

参考にして採用に力を入れていこうと思える本でした。

「有能な人材」ではなく、企業が創造しようとしている目指す顧客価値に貢献できる「有益な人材」を採用することの重要性を説いています。能力が高かったとしても、組織として目指すベクトルに沿った人材でなければ有益たりえず、企業は方向性の合致した有益な人材を確保するべく採用力を高めるべきということが指摘されています。

劇団四季(サービス)、本多プラス(製造)、都田建設(建設)、物語コーポレーション(飲食)などの事例が紹介されています。

劇団四季の例でいうと、100%のものをお客様に提供するために、セリフや音程をすべて台本の通りに完璧にこなせる人材が有益であると定義しており、アドリブを入れたりする俳優はたとえその人が有能であっても不要と判断しているそうです。

小さくても「人」が集まる会社―有益人材集団をつくる「採用マネジメント力」 小さくても「人」が集まる会社―有益人材集団をつくる「採用マネジメント力」
西川 幸孝

日本経済新聞出版社
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会社としてどういった人材を求めているのかを明確に定義して、それを採用活動の場で強すぎるくらいにアピールすることが大切だということがわかりました。組織の文化に合わない人がちょっと避けたくなるくらいに極端に文化を押しだしたほうが、結果として採用の失敗が少なくなるような気がします。

【書評】サムスン式 仕事の流儀 サムスン社員がどう鍛えられているのかを解説

サムスンは東南アジアをまわっていると非常に目につく機会が多く、その伸びについて聞くことも増えてきました。サムスンは韓国のGDPの22%を占めるほどの大企業で、しかも短期間で急激に伸びている会社です。経営やマーケティングをどのように行っているのかについて興味を持っていまして、たまにサムスンについて解説した本を買って読んでいます。

本書「サムスン式 仕事の流儀」は、サムスングループで勤務していた経験のある筆者が、サムスンの社内のエピソードを交えて5年でプロとしての仕事の仕方を覚えるために何をしていけばいいかということを説明している本です。

ビジネススキルの向上や結果を出すための仕事の仕方を説明する本としてはイマイチなのですが、サムスンの組織がどうなっていて、社員が厳しい環境の中でどう鍛えられているかを知るにはいい本だと思います。

組織内で出世するための方法に焦点があたっているので、比較的大きな企業に勤めている人に向いています。

「中間管理職は決裁にかけた時間が人事査定に影響する」「出張報告書は帰りの飛行機で書く決まりがある」みたいなちょっとした点でスピードを上げるために工夫していることがわかるエピソードは参考になりました。

エピソードが整理されておらず、脈絡がなく唐突に出てくるのが残念な点でした。

サムスン式 仕事の流儀 サムスン式 仕事の流儀
ムン・ヒョンジン,吉原育子

サンマーク出版
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2011年に300冊以上読んだ中で特にオススメの本5冊

2011年にジャンルを問わず累計で300冊以上読みました。普段はビジネス書と小説をだいたい同じくらい読んでいる年が多いのですが、2011年は新しく仕事をはじめてみたいと考えている国や地域に関連した本を読む機会が増えて、若干ビジネス書のほうが多くなりました。

メモが残っているものは208冊あったのですが、その中でも特におすすめできる本を紹介します。

1.フェイスブック 若き天才の野望

今後世の中を動かしていくであろうフェイスブックがどのように流行していったのかと、創業者のマークサッカーバーグがどのような考え方をしてサービスをつくっているかがまとまっている本です。

フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた) フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた)
デビッド・カークパトリック,小林弘人 解説,滑川海彦,高橋信夫

日経BP社
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2.「週4時間」だけ働く。

仕事のやり方を変えて楽しめるようにしたいという人におすすめです。
常識に縛られない考え方の大切さを学べます。

以前紹介する記事をまとめました。
【書評】「週4時間」だけ働く。 ティモシー・フェリス

「週4時間」だけ働く。 「週4時間」だけ働く。
ティモシー・フェリス,田中じゅん

青志社
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3.イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」

クリティカルシンキングなどの本をたくさん読んできましたが、その中でも特によかったです。
問題・課題設定の質の重要性がわかります。問題意識のピントがずれていれば、いくらそこに向かって努力して解決してもアウトプットとしては低レベルなものになるので、適切な問題(イシュー)設定をするにはどう考えるべきかを説明しています。

イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」 イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」
安宅和人

英治出版
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4.中国共産党 支配者たちの秘密の世界

中国がどのように体制を維持して運営されているかということを知るのに参考になりました。共産党による言論や情報の統制や、さまざまな分野での人事権などについてまとまってます。立法、司法、行政などすべての分野においても人事権を持っているうえに、特に共産党の権限について法律で定められていないので、何でも共産党が決めることができるという現状が説明されています。

メディアや国有企業の人事権も共産党が握っていて、党に対抗しようとするような人材はそもそも世の中に影響を与えるようなポジションに至る前に排除されるという仕組みが出来あがっているのが体制維持に貢献しているようです。

中国が世界に与える影響は強くなっていく一方で、今後世界一の大国として世の中の流れをつくっていくでしょうから、中国がどう変化していくのかを予測する前提となる知識を提供してくれるこういった本は貴重です。

中国共産党 支配者たちの秘密の世界 中国共産党 支配者たちの秘密の世界
リチャード・マクレガー,小谷まさ代

草思社
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5.最強国の条件

読みながら、これからどういった要素がパワーバランスを決めるのかとか、経済がどういった要因で変化していくのかといったことを想像するのが楽しい本でした。
ちなみに「寛容さ」が最強国の条件であるというのが著者の主張です。過去の最強国ではどう当てはまっていたのか例示しながら、文化や人材の流入などを積極的に行うことの重要さを説明しています。

経済的に安定しているから寛容になれるだけの余裕があるだけで、弱小なうちから寛容さを重視して何でも受け入れてたら上手くいかなそうなので、各国がどういったバランスで舵取りしているのかに注目していこうと思いました。

最強国の条件 最強国の条件
エイミー・チュア,徳川 家広

講談社
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2012年の読書予定

海外で仕事することが増えてきたので、世界史(主に近・現代史)や、地政学、政治地理学に関連した本を読むつもりです。おすすめの本があれば教えてください。

【書評】グーグル ネット覇者の真実 インターネット関連の仕事をしている人は読むべき本

グーグル ネット覇者の真実 追われる立場から追う立場へ」がすごくよかったのでおすすめです。

インターネットに関連した仕事をしている人は多少なりともグーグルの動向に影響を受けるはずなので、読んでおいて損はないと思います。

グーグルの社内での取材を許されたはじめての本ということで、今まで出版されたどのグーグル関連本よりも内情を詳しく書いてあります。スカイプの買収を検討していたときの社内政治の駆け引きや、中国向けサービスの政治的なやりとりなど、中に入り込まないとわからない事情がよくまとまっていました。創業時から最近までの一連の流れが詳しく描かれています。

筆者はラリー・ペイジとサーゲイ・ブリンという創業者2人とエリック・シュミットという後から経営者として入ってきたCEOがどういう思想を持ってサービスを創っているのかという点に特に着目しているように感じました。特にラリー・ペイジのほとんどの人にとって現実味がないと感じられるほど未来を先取りしたサービスを考えて試そうとする行動様式がクローズアップされていました。

創業者の考え方も含め、グーグルがどういった文化を持っていて、どういう考え方をして意思決定しているのかが多少はつかめます。特に未来を予測して仕事を創り出したり、大きな方針を決める立場にある人は読むべき本だと感じました。

グーグル ネット覇者の真実 追われる立場から追う立場へ グーグル ネット覇者の真実 追われる立場から追う立場へ
スティーブン・レヴィ,仲達志,池村千秋

阪急コミュニケーションズ
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サービスへのこだわりや姿勢を示すものとして印象的だったのがGメールの初期段階でのテストのエピソードと、検索エンジニアに対する待遇です。引用ではなく要約です。

Gメールをつくった担当者がラリー・ペイジにデモを見せたところ、ページを読み込むまでの速度が遅すぎると顔をしかめて、600ミリ秒(10分の6秒)もかかっていると指摘された。そんなことわかるはずがないと思って担当者は頭の中で反論したが、自分のオフィスに戻ってからスピードをチェックすると、読み込み時間がぴったり600ミリ秒だった。その後担当者が自分でもできないか試してみたら、大した努力もせずに100ミリ秒単位の精度で時間が測れるようになった。しかも、社内にはこういうことができる人間がいくらでもいた。

検索エンジニアにはそれぞれ、ウェブ全体のインデックスを保存したサーバーが1セットずつ支給されて自由に使うことができた。

このように、サービス向上のためのこだわりや、グーグルが運営しているサービスはどのようにブレイクスルーに至ったのかといった点が担当者からヒアリングを元に解説されています。

最後の数章では、ソーシャルメディアの分野でどうグーグルが劣勢に至ってしまったのかを、Facebook、フォースクエア、Twitterなどを関連づけて説明しています。特にFacebookについて詳しく説明されています。

グーグルとの比較をするという意味で「フェイスブック 若き天才の野望」という本もおすすめです。
本書と同じように創業期からの一連のエピソードが詳しくまとまっています。

フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた) フェイスブック 若き天才の野望 (5億人をつなぐソーシャルネットワークはこう生まれた)
デビッド・カークパトリック,小林弘人 解説,滑川海彦,高橋信夫

日経BP社
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海外に移住する人やすでに外国で暮らしている人を応援するサイト

少し前に、 世界中の和僑の知識を共有できるサイトをつくります という記事を書いたのですが、出張中の土曜日の5時間くらいを使って以下のサイトをつくってみました。

海外移住情報の外国暮らしドットコム

海外で生活している人やこれから外国に引越しして、定住しようと考えている人たちのための情報源にしたいと思ってつくりました。はじめての方にとってはものすごく難題に見えるようなことでも、すでに移住して時間が経っている人からしてみればたいしたことのない問題だったりするわけで、そういった情報格差を少しでも減らすことに繋がるように更新していきます。

とりあえず今はそれぞれの国に住んでいる方に送ってもらって貯まっている原稿を順番に少しずつアップしています。今後は他の方が投稿できるようにしたいと思います。

ただ、主観的なノウハウやハウツーばかりが集まるのは避けたいと考えています。

参考にさせてもらっているノウハウやハウツーをまとめている他のサイトを見ると、恋愛に関するハウツーというかコラムみたいな記事がランキングの上位を占めているのですが、主観的すぎてあまり訳に立たないと思ったからです。記事の質が低いとか高いとかいう問題ではなく、受け手によって価値が大きく変わってしまう情報が多いという意味です。
それはそれでいいと思いますし、たしかにトラフィックはそっちのほうが伸びるのかもしれませんが、週刊誌やバラエティー番組で紹介している内容みたいな記事ばかりになるのは避けたいのでできるだけ主観の入りこむ余地のない情報から順番に記事にまとめてもらえるように海外在住の方にお願いしていくつもりです。

記事の質を向上させるために、同じテーマについて複数の方に書いていただいて、それを統合するという方法を採用して進めていきます。

日本人の少ない国ほど困っている人も多いと思うので、世界中の国の人へ情報を伝えられるよう範囲を広げる努力します。

バンコクITオフ会の勉強会で講師としてソーシャルメディアマーケティングについて話してきました

タイにいるときと日程があえばバンコクITオフ会という会に参加させてもらっています。バンコクでIT系の仕事をしている人が集まるオフ会で、Facebookグループに現在40名ほどいらっしゃって、毎回そのうち10名前後が参加しています。

先日その勉強会で講師をさせてもらってきました。テーマはソーシャルメディアマーケティングです。15名ほどの方に参加していただきました。

以下が使ったスライドですので参考までに。

IT系の仕事をされている方の集まりなので皆さん事情に詳しく、質問も踏み込んだものが多かったように感じました。
各自が得意な分野を持ち寄って教えあって、興味を持ったテーマのときに気軽に参加するというのはいいことですね。

運営している以下のブログも全然更新できてないのでたまには更新しようと思います。

ソーシャルメディアマーケティング(SMM).jp

関連記事
バンコクITオフ会の第1回勉強会(テーマ Redmine)に参加

いまの円高は最後のチャンスかも

ユーロの変動の影響か円高が加速して、バーツ円が2.4円程度と、史上最安値になっています。1万円が4100バーツ以上になっています。

ユーロ円も相当安くなっていて、日本企業の海外進出にとってかなり追い風になっていると思います。

日本の財政を考えると特にいい点はなくて、他が日本よりも悪いためにたまたま相対的に円高になっているだけで、いまのままだと経済自体は悪くなっていく一方なので、今の大きな円高トレンドが生きているうちでは最後の円高のタイミングかもしれません。数十年というスパンでみればどこかで戦争などが起こる可能性もあるので、そういった場合は「有事の円買い」で今のユーロからの逃避目的で円が買われるのかしれませんが。

現在の円高傾向があと何年続くのかわかりませんが、今のうちに日本で稼いで海外にできるだけ投資していきたいと思います。日本で得たお金を海外の現地向けのビジネスに投資して、現地の企業から現地の通貨でお金をもらえるようなビジネスを構築していきます。

2011年の振り返りや2012年の予定

あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

毎年恒例の昨年の振り返りと今年することのまとめをしてみたいと思います。

海外へのシフトを決める

今年のはじめは日本で少しずつ人数を増やしていこうとしていたのですが、いろいろとあって日本ではできるだけ人数を増やさずに進めることにしました。日本で人を増やすとしても1人あたり売上高5,000万くらいを目安に人数を少なめに抑えて、海外で人を増やしていくのが理想だと考えています。

海外視察や調査、勉強

フィリピンのマニラをまわってきました。すでに会社のあるタイでも感じるのですが、かなり活気があって、商業施設を見てまわると購買力があがっていってる雰囲気が伝わっています。
だいぶ遅れているのですが、フィリピンで会社を設立するべく進めます。

フィリピンだけでなく、海外市場全般に関するデータや書籍なども読み漁りました。
人口動態やインターネット、スマートフォンの普及率などを見つつ、「すでに起こった未来」がどういったものなのかを考える時間が増えました。

タイの事業の成長や洪水

幸いなことにオフィスのあるエリアは冠水しなかったのですが、自宅が冠水してしまっている同僚が多かったり、取引先が冠水してしまったりと、影響は大きく、約1ヶ月業務が滞りました。昨年のタクシン派の大規模デモに続いてまたしても臨時の公休日となりました。

洪水の影響は受けましたが、事業としては順調に推移しています。赴任してもらっている創業からの同僚のおかげでタイはだいぶ組織としてまとまってきた感があり、サービスの品質も上がり続けているので、2012年は拡大路線で進めていきます。

日本での営業

日本に悲観的すぎるという指摘を受けることがけっこうあるのですが、むしろ日本人にとって今の日本はとてもチャンスがあり、他国よりもずっとビジネスしやすい環境だと思ってます。国内だけで非常に大きなマーケットがあり、しかも日本語という言語に守られていてビジネスしやすいです。
しかも円高は今年もまだまだ続きそうなので、海外へ投資する絶好のタイミングでもあります。
さらに、昨年からベンチャーが資金調達する環境も整ってきているように感じます。

他国とコスト感に差がありすぎて、いろいろな仕事が高止まりしているのが日本の現状なので、情報に差があるところに目をつけて日本で仕事をもらい、海外に出すのもまだしばらくは価値を出せそうです。海外に任せて高い品質を保ちつつ、費用を半分以下にしてお客様に提供するというような仕事はあと数年は成立するでしょう。

しかしながら、徐々にオフショア的な発想が成立しなくなることは見えているので、新しく他国へ進出するときにはオフショア的な仕事をしつつ、そこで出した利益をどう現地向けのビジネスに投資して売上の比率を現地にシフトしていくかというのはどの国でも考えておかなくてはなりません。

日本では海外に関心を持っているお客様を中心に新規取引を増やしていくことで、さまざま国でお客様とともに成長していけるような仕事をします。主に進出先でのSEOやリスティング広告といったインターネットでの集客を活用した、インバウンドマーケティングの支援を行います。

複数の国で横展開しやすいモデルで、ロケーションに強みを持つ仕事を

いきなり世界中を対象とするのももちろんいいことだと思うのですが、せっかく各国にオフィスを構えるので、どうせならその国に誰かいないとできないビジネスモデルを進めていきます。

ウェブサービスでいうなら、飲食店、美容、医療、不動産など現地に根差したものを選択するということです。
仕組み自体は他国でも横展開しやすいけれど、現地に人員がいるほうが圧倒的に有利という分野に取り組んでいきます。