リバース・イノベーションは、学者として理論だけを扱っているわけではなくゼネラル・エレクトリック(GE)のコンサルタントとしても活躍しているビジャイ・ゴビンダラジャン、クリス・トリンブルによる経営理論の本です。途上国でビジネスをしている人におすすめです。

リバースイノベーションとは、途上国で発生したイノベーションのことを指しています。本書では、途上国から発生したイノベーションが、世界に広がっていく事例が多数掲載されています。

先進国で発明された製品を途上国向けに修正して出すという発想ではなく、現地のニーズを調査して、まったく別のものとして発明しなおさないと適切に現地のニーズをとらえた現地企業に負けてしまうということを事例を用いて説明しています。
先進国で使われている製品やサービスは途上国が豊かになっていくにつれて次第に使われるようになるだろう、つまり途上国のニーズが先進国に追いついてくるだろうという考えは非常に危険だと説いています。何年か待っていればそのうち高品質な先進国向けの製品も売れるようになるだろうと思って待っていると、現在ニーズがあるのに価格の問題で手をだすことができない層を他社に持っていかれてしまい、気がついたときには入る余地がなくなっているというものです。80%の品質のものを50%のコストで達成するという製品の水準を調節するというようなコスト・品質の説明もありましたが、ローカルでヒアリングを続けて別のニーズを見つけてそこに向けて製品開発していくという点に興味をひかれました。

先進国のマーケットのほうが当然大きく、売上や利益もすでに出ていることが多く、それがしがらみとなって途上国での新規事業は予算や人材をはじめとした社内のリソースを割り振られないことが多いです。そのため、トップが全社に対して途上国での目標売上を提示し、担当するチームを全面的にサポートする必要があります。イノベーションのジレンマとの関連性についての説明も本書内で触れられているのですが、先進国で上手くいっている企業ほど、新興国での新規事業の規模感がどうしても小さく見えてしまってリソースの割り当てがおろそかになるというジレンマに陥らないようにしなくてはいけません。

アジアでインターネット関連の仕事をしていますが、途上国は決済や物流のインフラが整ってないからEC(Eコマース)は難しいというような考えがありました。決済や物流のインフラを自分たちで整えるのは難しいから誰かが整備したところに乗っかってビジネスするしかないという諦めにも似た発想です。途上国でも富裕層を中心としてインターネットでモノを買いたいという人は一定数いるはずで、そこに向けたサービスの提供機会を常に探すべきだと考えなおしました。

タイムマシン経営がまだまだ全然成り立つみたいな発想がありましたが、先進国で流行しているサービスをただ持っていくだけでなく、現地向けにゼロベースでつくるようにしていきたいものです。どうしても意識が先進国の類似サービスに引っ張られると思うので。
先進国のサービスを参考にすると、過剰品質になるのと、すでにそのサービスのカテゴリがコモディティ化されているので他で比べられることを意識しすぎたサービスになってしまうと思います。

考え方を変えるいいきっかけとなりました。リバース・イノベーションを起こして新興国から世界中に広がるようなサービスをつくっていきたいものです。

リバース・イノベーション リバース・イノベーション
ビジャイ・ゴビンダラジャン,クリス・トリンブル,小林 喜一郎(解説),渡部 典子

ダイヤモンド社
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