Month1月 2013

【書評】とことん観察マーケティング 野林徳行

書店でマーケティングの棚で平積みになっていて、「観察」という言葉に惹かれて買ってみました。
僕は別に小売業者はやってませんが、新しい国に行ったらとりあえずスーパーと百貨店とコンビニをまわって、店頭でどんな商品がどれくらいで売られていて、陳列方法やレイアウトがどうなっていて、どういう客層がどれくらい入っているかをチェックするくらいには店を観察するのが好きなので。

とことん観察マーケティング とことん観察マーケティング
野林徳行

ビジネス社
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お客様や売り場を観察し、お客様や見込み客と話し、理解するところからマーケティングをはじめたほうがよい結果につながるということが豊富な事例とともに紹介されています。

店頭でのお客様の観察、現場のスタッフの意見、グループインタビューによる利用者もしくは対象となりうる属性の人からのヒアリングなどで、実際に試してみて効果があった方法が解説されています。
体系だてて理論みたいなものがまとまっているわけではないのですが、著者のリクルート、ローソン、ブックオフなどでの実体験を中心に構成されていて、面白くて参考になります。

観察による発見を社内で周知して、誰もが使えるノウハウとして整備していくことで、組織のマーケティング力の向上につなげるようにしたいです。

以下メモです。

話を聞いてみて、お客様視点に立つこと。

グループインタビューは利用者と非利用者両方に実施。
チーム横断でナレッジを蓄積していく。

組織としてお客様を知るような気持ちや仕組みが作れているか。

御社の店舗を50店まわってきました。3つの課題を発見しました。という提案方法

コンビニに置かれている自社の情報誌がどのように配列されているか、それをどのように客が見ているかなどを数十の店舗をまわって観察していた。

ガテンのマーケティング担当になった際に、実際にガテン系の仕事をしている600人にあって話を聞かせてもらった。

現場・ローテク・一生懸命・感謝

【書評】日本一社員がしあわせな会社のヘンな“きまり” 山田 昭男

尊敬している方におすすめしてもらったので読んでみました。誰かに本を推薦してもらう機会ってほとんどないので、誰かに紹介してもらった本は小説や漫画なども含めて基本全部読むようにしてます。

日本一社員がしあわせな会社のヘンな“きまり” 日本一社員がしあわせな会社のヘンな“きまり”
山田 昭男

ぱる出版
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性善説に基づいて、社員を完全に信頼して経営しているので、ホウレンソウなどは不要というようなことが説明されています。著者は従業員にヤル気を出してもらうために、「餅を配る」必要があるとしていて、自由に働いてもらう、休みの日数を増やす、残業をゼロにするなどの取り組みをされているそうです。

現場のことは担当社員が一番知っているので、上司にいちいち報告してお伺いを立てる必要はなく、自ら判断しなさいという方針で上手くいっているようです。

「社員は、自分が考えて、自分で判断して、行動すればいい。」
「出張だって自分が必要だと思ったら、経理に請求して、勝手に出かければいい。上司への経過報告も相談もいらない。上司よりも多くの情報を持っていて、いいか悪いかを最も的確に判断できるのは、その場にいる自分なんだから。」
55ページから引用

会社を騙そうとする従業員が出てくることも自覚はしているけれども、あえて不正されやすくなるくらい自由にすることで逆に不正が発生しづらくなると考えているそうで、これは確かにそのとおりですね。社食の代金は自己申告制で食べた日数に応じて計算するが何度食べたかなど一切管理してない、出張の料金計算なども領収書は出させないなど、ごまかそうと思えばいくらでもできる状態にあえてしているとのこと。

創業したばかりのころのやる気がある人が多い環境であれば完全にホウレンソウなしで管理せずに進めたとしても基本みんな頑張るので仕事がまわっても、人数が100人200人と増えてくると段々と熱意を持って自ら動ける人の比率が下がってきて、管理をしないと1人あたりの生産性はどんどん落ちるという考えに僕は完全にとらわれてます。規模が大きくなっても完全な性善説でまわして利益を出し続けられているのはすごいです。タダ乗りや手抜きをする人が一定比率いることはわかっていても、あえてそれを残したままでもいいと考える器の大きさがあるんでしょうね。

また、差別化を重視しているとのことで、他と同じことしていたら儲からないというのが以下のように非常にわかりやすく説明されています。

5年くらい前まで「高額所得法人」のリストが公表されていて、経常利益4,000万円以上の法人が掲載基準になっていたが、国内の企業965万社のうち、8万社(3%)しかない。つまり、ほとんどの会社はたいして儲かっていない。

世間一般の会社が行なっていることにあわせることは、儲かっていない多くの会社とあわせることと同じ。なので、徹底して他と違うことをする必要がある。

他と同じものは作らない、ホウレンソウ禁止、残業禁止、人事部おかない、コピー機は一台、1人1人の席ごとに電気を消すようにしているなど変わった取り組みをしている。

似たような発想の経営者の本としては、「奇跡の経営 一週間毎日が週末発想のススメ」という本がおすすめです。

【書評】僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。東大発バイオベンチャー「ユーグレナ」のとてつもない挑戦 出雲 充

学生のときに所属していたコミュニティが近かったのか、なぜか間接的に人から話を聞くことが多いユーグレナの社長さんの本が出てたので読んでみました。最近マザーズに上場してましたね。

僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。――東大発バイオベンチャー「ユーグレナ」のとてつもない挑戦 僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。――東大発バイオベンチャー「ユーグレナ」のとてつもない挑戦
出雲 充

ダイヤモンド社
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ミドリムシを使った健康食品を売っている会社という認識だったのですが、他にもいろいろと取り組まれているとのことで、ミドリムシがいかにすごいかが力説されています。

東大発バイオベンチャーということで、やはり技術力は高いそうで、なんと世界で最初にミドリムシの培養に成功したとのことで、そこに至るまでの創業メンバーの苦労話なども描かれています。培養に成功する見込みがなかったから銀行に入行したとか、サラリーマンやりながらカバン持ちの企画を手伝っていたらそれがきっかけでライブドアから出資を受けられたが、ライブドアショックで間借りしていたオフィスが使えなくなった話とか、創業時の面白さや大変さが伝わってくるエピソードが多数描かれています。

ミドリムシが食料やエネルギー問題の解決に適した素材であると説いて、この本で書かれているほど画期的な素材であるのが、事実であれば、その培養化技術は広く開放されるべきだなと思いました。
エネルギーとして利用できるようになって本当にジェット燃料の代わりになるようであれば、石油メジャー以上の価値がある会社になりうるわけで、他社や学会での研究状況はどうなっているのかちょっと調べてみたくなりました。

基礎研究の要素があるベンチャーは、この本で描かれているユーグレナのように、まさに世界の最先端で誰も手をつけていないところに取り組んでいるケースも多数ありそうで、アイデアを形にすることが容易なウェブサービスの業界と大きく違っていて面白そうです。

【書評】時給800円のフリーターが3年で年収1000万円に変わる仕事術 松田 元

同世代、同じ大学で会社経営されている知り合いの方が執筆されたとのことで読んでみました。

時給800円のフリーターが3年で年収1000万円に変わる仕事術 時給800円のフリーターが3年で年収1000万円に変わる仕事術
松田 元

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学生のころからの友達に話すとたいていドン引きされそう、経営者同士で話しても相手によっては若干引かれそうな内容も書かれているのですが、実践しているあるあるネタが多くて面白かったです。

一見極端ですが、人間の能力にはたいして差はないのだから他の人と差をつけるにはこれくらいしないといけないんだろうなという内容です。タイムマネジメントのために参考になる話が含まれています。

これからたくさん働いてステップアップしていきたい人や、仕事が大好きなワーカホリックな人におすすめの本です。

以下で要約を閲覧できます。はてなブックマークというソーシャルブックマークのサービスがあり、人気のページがわかるようになっているのですが、少し前に流れてきてました。

最短・最速で最強のビジネスパーソンになるための70の鉄則 | ブクペ

企業の海外流出を止めるための制度変更

昨日は雇用や仕事が海外に流れていくことについて書きましたが、税金などの国としての制度も、雇用と似たように世界とくらべられるようになってきています。

以下は三菱商事の主力の金属資源トレーディング部門がシンガポールに本社を移すというニュースの解説です。

三菱商事の主力部門シンガポール移転のワケ

税金が高い国の企業と低い国の企業で毎年の納税額が何千億も違う状態だと、やはり高く払っているほうが負けやすくなるのは確実です。

たとえばユニクロを運営しているファーストリテイリングの直近の税引き前利益が約1,234億で、業界トップのH&Mが約1,860億円なのですが、ユニクロが払った税金は約518億、税率は約40%に対して、H&Mは約490億、25%です。

仮に利益額で追いついて、両方年間2,000億になったとすると、ユニクロ800億、H&M500億の納税となり、300億もの差が開きます。仮に途上国での1店舗あたりの出店費用を平均3,000万とすると、毎年1,000店舗分も差がつくわけです。

税率だけで毎年大きく差をあけられるわけで、場所関係なく世界中で競争しているこれくらい規模の大きな会社にとっては死活問題です。上場企業だと難しいかもしれませんが連結対象にしない会社をつくって税金を海外で払うようにしたり、海外に本社を移転させたりするのは仕方がないことだと思います。

短期間の納税額を増やすために競争に負ける企業を増やしてしまうような税率を維持するのではなく、グローバルな競争に勝ってもらってそこから薄く税金を取るほうがよいです。企業が海外に本社移転する、もしくは生き残れなくて倒産してしまったら、納税額が減るだけでなく雇用も大きく減ってしまうので。

制度が変わっていくのが理想ですが、今後は制度の変更が環境の変化に追いつかなくて、節税や雇用の都合で大企業でも海外に本社を移す流れが加速するでしょう。

海外への仕事の流出について

自分の考えと似たような記事があったので紹介します。

月給1万円のカンボジア人が「日本語入力」 日本人に残された仕事はあるのか? (1/2) : J-CAST会社ウォッチ

この記事では例としてあえて単純作業に絞ってるのでしょうけど、仕事が国外に流れていくのは単純作業に限った話ではないです。

国籍によって高度な仕事ができるかどうかに差はないので、日本語を使わなくて済んで、日本にいなくてもできる仕事は、賃金格差が海外に任せる手間分を補えるかぎりは、ほぼすべて外に出ていくと考えたほうがよいです。

積極的に海外に仕事を任せるようにしないと、国内での競争には勝てても、世界と競争したときに生き残れないと思います。コスト面だけでなく、優秀な人と仕事する、もしくは採用するという面でも長い目で見れば必須ではないでしょうか。

国内での雇用がなくならないようにするにはどうするのがいいかについては、最低賃金の制限をなくす、解雇規制をなくすなど、規制を緩和するのが大切だと思います。流れていってしまう仕事を少しでも減らすためです。
一方で、タクシーの運転手や看護師など、外国人雇用の制限をあえて残すことで、雇用が守られる職業も多数ありそうです。

2012年に読んでよかった本10冊

2012年は土日はほとんど本を読むか、仕事するかしていて、年間でだいたい400冊くらい目を通したと思うのですが、読んで良かった本10冊をまとめてみました。

海賊とよばれた男

海賊とよばれた男 上 海賊とよばれた男 上
百田 尚樹

講談社
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石油で有名な出光興産の創業者をモデルにした歴史経済小説です。
おすすめしている人が多かったので買ってみたのですが、引き込まれて寝る時間を削って一気に読んでしまいました。

紅茶スパイ

紅茶スパイ: 英国人プラントハンター中国をゆく 紅茶スパイ: 英国人プラントハンター中国をゆく
サラ ローズ,Sarah Rose,築地 誠子

原書房
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茶を中国まで調達しにいく植物学者の話です。技術移転を目的として、未開の地を探索し試行錯誤していくという内容です。

【書評】紅茶スパイ: 英国人プラントハンター中国をゆく

10年後に食える仕事、食えない仕事

10年後に食える仕事、食えない仕事 10年後に食える仕事、食えない仕事
渡邉 正裕

東洋経済新報社
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労働力がどう日本のような先進国から途上国に移っていくかが説明されてます。現実となるかわからない予測ではなく、おそかれ早かれほぼ確実に起こるであろう未来が淡々と解説されています。未来を考えるのに役に立つ本でした。

2050年の世界 英『エコノミスト』誌は予測する

2050年の世界 英『エコノミスト』誌は予測する 2050年の世界 英『エコノミスト』誌は予測する
英『エコノミスト』編集部,船橋 洋一,東江 一紀,峯村 利哉

文藝春秋
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人口、環境、食料、宗教など、さまざまな切り口でそれぞれの専門家が未来を予測している本です。歴史や人口動態から導き出される未来は日本のような先進国にとって暗いものですが、避けることはできないものなのだと認識しました。すでに起こった未来を把握して、それに向けて準備しておくためにも読んでおく価値のある本だと思います。

ビジョナリーであるということ

ビジョナリーであるということ ビジョナリーであるということ
パヴィスラ・K・メータ,スキトラ・シェノイ,矢羽野 薫

ダイヤモンド社
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「治せる失明をこの世から根絶する」というビジョンを掲げて、アラヴィンドという病院組織をつくったドクターVのエピソードがまとまっています。
お金のない患者への治療は無料でかまわないという方針で、無料にしただけでは治療が必要な患者が来られないので交通費や食費までも出している。それにもかかわらず効率化と、払える患者に請求することで、寄付に頼らず経営できているという驚くべき組織がどう発展してきたかが説明されています。
社会的意義のあるビジョンのもとに集まってきた人が無償で協力して発展してきたみたいな話だけではなく、現実問題としてどうコストを負担していくのかという点について詳しく触れられていたのがよかったです。

MAKERS

MAKERS―21世紀の産業革命が始まる MAKERS―21世紀の産業革命が始まる
クリス・アンダーソン,関美和

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モノづくりがどう変わっていくかを説いた本です。設計図から樹脂や金属などを使って自動でモノをつくりだす3Dプリンタについて詳しくまとまっています。
活版印刷や携帯電話みたいに世の中を大きく変える可能性のある技術で、どう常識が変わっていくのかワクワクさせてくれる本でした。

リーン・スタートアップ

リーン・スタートアップ  ―ムダのない起業プロセスでイノベーションを生みだす リーン・スタートアップ ―ムダのない起業プロセスでイノベーションを生みだす
エリック・リース,伊藤 穣一(MITメディアラボ所長),井口 耕二

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これ読んで組織の中に学習プロセスをつくることが大切だとよくわかりました。
フィードバックループをきちんとまわせるかは、最初に何をするかを選択するよりも成功への寄与が大きいということが腹に落ちました。

ウェブはグループで進化する ソーシャルウェブ時代の情報伝達の鍵を握るのは「親しい仲間」

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ポール・アダムス,小林 啓倫

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ウェブサービスをつくっていたり、ウェブをマーケティングに活用していたりする人たちにおすすめの書籍です。ソーシャルメディアを利用する目的とは何か?という本質的な点や、人間の行動特性はウェブでも現実と同じであるといった内容がデータとともに語られています。

20歳のときに知っておきたかったこと スタンフォード大学集中講義

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ティナ・シーリグ,Tina Seelig,高遠 裕子

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常識、自分の経験や知識、リスクへの不安がどれくらい自らの行動を制限しているかわかりました。

小室直樹の中国原論

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小室 直樹

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中国人の考え方や行動様式についての本です。世代間でどう変わっていっているのかが気になっています。

【書評】小室直樹の中国原論 中国人の行動様式を紐解く解説書