「ALLIANCE 人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用」は、スタートアップを経営している人であればみんな知っているであろうペイパルとリンクトインの創業者であるリード・ホフマンによる新しい雇用の考え方を説明した本です。

たいていの人事関係の本ではいかにして辞めないようにして長く働いてもらうかという観点で説明されてることが多いですが、ALLIANCEでは数年で退職するのは当たり前で、退職する前提でどう一度入社した人と良い関係を築いていくかがまとめられています。

最近では日本でも終身雇用という考え方に無理があるという認識が少しずつ浸透してきた感はありますので、企業を卒業した人のネットワークを活用するというのは参考になると思いました。人材の流動性が高いシリコンバレーでは日本よりもはるかにすぐに転職を考える人が多いために、退職者との付き合いかたに関しても考え方が進んでいるようです。
参考になるところの多い本でした。

以下はメモです。

辞めた人とも良い関係を維持しておいて、会社にとっても元従業員にとってもメリットのあるようにする取り組みだけでなく、在職期間中に退職するかもしれない前提でコミットメント期間を定める方法も解説されています。

仮に転職することになったとしても、在職してくれている数年間で最速で成長してもらうのが双方にとってベスト。

転職に対してオープンに上司に相談してもらったほうが、その転職のためにどういったキャリアを積みたいかを双方で相談できてよい。
本人のやりたいことが実や社内でもできるかもしれない。
また、結論として退職することになったとしても、突然転職されてしまうよりも事前に相談を受けて年数の目処がついて
いたほうがずっといい。

面接の段階で弊社で働いたあとは何をしたいかを聞く。これによってキャリアパスの支援ができる。

コミットメント期間の3つのタイプ

ローテーション型

工場のラインや大企業のホワイトカラーに代表される様々な箇所を数年ずつ経験していく方法。
社員がどの部署が自分に合うかを確かめる期間となる。

変革型

社員ごとにパーソナライズされているのが特徴。
期間を一定に定めるというよりかは、特定のミッションを完遂することが重要視される。
内容は上司と本人で話し合って決める。

基盤型

人生と会社の方向性が完全に一致しており、その人にとってその会社がキャリアや人生の基盤となっている状態。
会社での使命が自分の終生の仕事だと考えて、会社も同様にとらえる関係性。

それぞれのメンバーがどの状態にあるのかを本人と話し合ったうえで判断していく。

ネットワーキングや情報収集能力を高めるために

そもそもネットワーク力が高い人を採用する

積極的な姿勢で社外と情報交換するように促す。友人知人に聞くべき質問などを社内で蓄積していく。

・業界の方向性を決めるカギとなる技術のトレンド
・他社の現在の取り組みは?成功しているか?失敗か?
・顧客の心情について。どんな気持ちが彼らを動かしているのか?彼らはどう変わったか
・手を組むべき業界内のキーパーソンは?
・業界内の人材採用のトレンドは?
・業界への新規参入組はどんな人たちか?面白いことをしている企業はあるか?
p.133より引用

ただ情報をもらうだけではダメなので、社外の人に何か聞くときには、上記のような質問への回答を自分たちでも用意しておく必要がある。

誰かが情報を得た時に、それが社内で共有されるようにしておくことも重要。
社内の連絡用ツールでアップされても読まれなければ無価値なので、打ち合わせのときなどに専用の時間をとってちょっとした情報が共有されるようにする

ネットワークを強めるための制度をつくる

・社員のためにネットワーキング予算を設ける。社外の人との食事代など。
・社員による講演会の企画
・自社オフィスでのイベント開催

制度を作っても利用されなければ意味がないので、
ネットワーキングの重要性を説明する、経営者が積極的に制度を利用してみせる、課題の相談ができそうな社外の人のリストをつくるなどをする。

卒業生ネットワークをつくる

卒業生ネットワークをつくり、退職した人ともいい関係を作っておくことは双方にとってメリットがある。
会社にとっては、やめた人から人材を紹介してもらえる、出戻りの率があがる、情報を教えてもらえる、顧客を紹介してもらえるなど。
退職者にとっては会社から転職先を紹介してもらえる、退職者同士のネットワークが使える、やめた企業から仕事をもらえるなど。

現役、退職した人の両方を含めたネットワークをオンラインでつくる、定期的にイベントを開催して食事代の費用を負担するなどのそれほど大きくない投資でもやる意義がある。

ALLIANCE アライアンス―――人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用 ALLIANCE アライアンス―――人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用
リード・ホフマン;ベン・カスノーカ;クリス・イェ,篠田 真貴子;倉田 幸信

ダイヤモンド社
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感想

試してみようと思えるところの多い本でした。意識としてごく一部の人以外は誰もが数年で辞める可能性がある前提で会社と従業員が考えていたほうが、お互い健全な関係だと思いました。

自社で働いたあとにどのようなことをする予定なのかという質問を私もよく面接でしているのですが、その人のキャリアへの意識が見えるので参考になります。