アップルvs.グーグル: どちらが世界を支配するのか フレッド ボーゲルスタイン を読みました。スマートフォンの歴史について詳しく説明されている本でした。両社の内部事情がインタビューなどを通じて明らかになっていてiPhoneやAndroidの成り立ちがわかります。インターネット、通信、コンテンツの業界で働いている人は読んでおいて損はないと思います。

マーケットが巨大とはいっても、PCにおけるWindowsの寡占状態を考えると、スマートフォンでもプラットフォームに関して同じ状況になりそうだと説明しています。この本を読むまでは、何となくiOSもAndroidも両方とも維持されていきそれほど差がつくことがなくマーケットが2分されるかのような感覚でいたのですが、読んで考えが改まりました。

PCでのWindowsとマック、テレビでの液晶とプラズマ、DVDでのブルーレイとHD、ビデオでのVHSとベータマックスなど、規格としての争いに勝ったほうが圧倒的な差をつけてしばらくは持続的な利益を出せるようになるわけで、どちらが勝つのかを予測してそのプラットフォームに注力していくのはインターネット業界に身を置く人にとっては重要だと思います。現状でアプリなどを開発している会社の多くは両方のOSに対応して作っていますが、どちらか片方だけに会社全体で3年なり5年なりの時間を投下して、結果として負け側だったなんてことになったら大変そうです。

アップルvs.グーグル: どちらが世界を支配するのか アップルvs.グーグル: どちらが世界を支配するのか
フレッド ボーゲルスタイン,Fred Vogelstein,依田 卓巳

新潮社
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すでにAndroidのシェアがだいぶ高くなっているので、このままいくと低価格の端末でプラットフォームを抑えにいっているGoogleが圧勝しそうな流れです。Apple製品に手の届かない新興国の人たちがAndroidからスマホに入って、その後所得があがってきたときにiPhoneにスイッチするかというと、それほど大きな機能差は今のところはないためです。

また、いくらAppleといえどもサムスンをはじめとする世界中の端末メーカーと競って明らかな差を継続的に維持することはできないと考えます。仮に端末の使いやすさなどでかなりの差をつけたとしても、世界中のメーカーが真似してきますから、その差を維持できるのはせいぜい2年が限界でしょう。実際にAppleはサムスンを訴えて一部の国では勝っていますが、訴訟で販売差し止めしたり賠償金を獲得したりしても、対した抑止力にならないと思います。なぜならスマートフォンマーケットはすでに先進国だけでなく世界中になっているので、どこかで製造されている類似製品を訴えたところできりがないためです。サムスンと似たような類似性の高い商品を開発するメーカーは増えていく一方でしょう。

iPhoneは革命的な商品で、多くの人を魅了して圧倒的な差をつけたのは事実ですが、今後同じくらいインパクトのある商品をAppleが出せるかというとそんなに期待できないと思います。あと、そもそもプラットフォームを抑えるという意味ではすでに機能での勝負にはなっていないです。機能と価格のバランスを考えて、多くの人が100~200ドルくらいのAndroidのスマートフォンを買っているわけなので、そこで新しく誰も考えていなかったような機能が搭載された新しい端末を出しても求められていないかと思います。

つまり、端末の使いやすさや機能差が訴求ポイントになっているうちは、AppleはAndroidとの競争で対Windowsのときと同じ轍を踏むことになりそうです。シェアが高くなってアプリを開発する人が増えれば、それが有利に働いてより利用者が増えるという循環ができて、優位が維持されるためです。

AppleがiTunesのときのようにプラットフォームとしての新しい切り口を提示して一気に巻きかえす可能性も否定はできませんが、端末でも利益を出す構造から脱却するのはなまじ現在がすごく調子がいいだけに難しいのではないかと思います。プラットフォームを抑えるために、まったく新しい切り口の商品を出したり、簡易的な端末を廉価にして販売したりできるかがアップルに求められています。

本書でも触れられていましたが、Googleの課題としてキャリアやメーカーなどが独自のプラットフォームを地域ごとに作ってしまうということがあります。世界共通プラットフォームから抜けだして独自開発で進んだ場合、一時的にはより高い利便性のものができるかもしれませんが、すぐにより使いづらいプラットフォームになってしまうと思いますので、それほど脅威にはならなそうです。