資産フライト 「増税日本」から脱出する方法 山田 順は海外に資産を移している富裕層への取材を元に資産がいかにして海外に逃げていっているかを説明している本です。

海外との競争という観点が抜け落ちている日本政府が税を軽くするというシナリオは考えづらいので、オフショア(=タックスヘイブン)で生活をして、税金をそこで払うというライフスタイルは一般的になっていくでしょう。

煽り気味な筆致で、金融サービスや税制などにおいて日本がいかに不自然な状態で、大きく変わらないといけないかがよくまとまっています。「はじめに」で筆者がいう以下の指摘は日本人ならあたってほしくない内容だと思いますが、避けられないように思えてしまうのが残念です。
「現在の私の見方では、日本は今後、富裕層に国を見捨てさせ、優良企業の海外移転を促進させたうえで、政府のカネだけを頼りにする非納税者の貧乏人だけの国になろうとしている。」

海外が見えてない日本人が圧倒的に多い現状では、投資先の選択肢として海外と比較するという考えのある人が少ないために、政府に保護された金融機関にカモにされているというような説明がまとまってます。
それで海外投資を推薦しているのですが、お金を持っている人たちのほうが何かとよく調べたり勉強したりして知識があるので、海外という選択肢が目に入りやすいので、リテラシの低いたいして金額の大きくない投資をする人だけが国内投資を続けるという説明はたしかにその通りだと思います。

本書に記載されていた国税庁のデータですが、

所得1億円超の人は全体の0.1%で納税額の13.6%
5,000万円超の人は0.6%で全体の27.0%
1000万円超の人で納税額の79.3%

を占めるという現実にもかかわらず、全員1人1票で平等なわけで、
政治家がお金持ってない層に向けて政策を考えるようになるのでしょう。

短絡的思考による痛みの先送りが日本を駄目にしていくのでしょうけども、政策決めてるような人たちはあと10年程度で引退みたいな人が多そうなのも原因だと思います。
頭はいい人たちなんでしょうから、大局的に考えれば間違ってることが明らかにわかっているはずです。
それでもやっぱり自分の人生や身の回りの出来事を優先させるという流れになってしまい、それが積み重なってよくない決定が増えていくのでしょう。

本書では文科省が英語や金融教育をあえてせずに愚民化を意図していると主張してます。
これは言い過ぎで実際にはそこまで意図してはおらず、単に既得権の保護で変化できないのが原因だと思いますが、たしかに国民のリテラシが高まって海外という選択肢が当たり前になってキャピタルフライトが盛んになれば、政府もそれに対応して政策を考えざるを得なくなるでしょう。近い将来そういった状況になるころにはもうすでに富裕層は海外に逃げてしまっている後だと思います。

取り急ぎ個人的に実践しようと思ったことは、資産を複数の国に分散させることです。
現状ですと、タイと日本に分散されているような状態ですが、中国、シンガポール、マレーシア、インドネシアあたりにも分散させておこうと思います。直近では次に上海行くときにはHSBCの口座つくってみます。

資産フライト 「増税日本」から脱出する方法 (文春新書) 資産フライト 「増税日本」から脱出する方法 (文春新書)
山田 順

文藝春秋
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