Category書籍紹介・書評

「Hot Pepperミラクル・ストーリー」 営業の仕組み化の参考に

この本がすごく良かったのでおすすめです。ホットペッパーの事業がどのように拡大していったのか経緯がまとまっています。
営業の仕方や組織化について勉強になりました。

すごい結果を出した人のノウハウをどうやって社内に広めていくか、地域ごとの営業効率の差を認識して成功している地域のやりかたをその他の地域に拡散するための取り組みなどが参考になります。

サンロクマルというホットペッパーの前身となったフリーペーパーでは、当初札幌でしか利益が出ていなかったそうです。札幌のやり方を大阪の営業担当などに共有しようとすると、大阪など他の地域の担当者は地域差があって自分の担当しているエリアでは値引きして当然という意見が出たりしてなかなか進まなかったものの、抵抗を抑えて札幌のやり方を踏襲させるまでの流れが描かれています。

ホットペッパーにたずさわっている人のほとんどが3年期限つきの契約社員だったそうなのですが、契約社員でもエリアの責任者にしていたそうです。また、理念やビジョンを共有するための説明会やイベントなどの取り組みを徹底的に行うことで、一体感や伸びる雰囲気をどう作っていったかかも描かれています。

1日20件の飛び込みを徹底させるために、エリアごとの責任者が自ら飛び込み営業を定期的に行って、その結果を競っていたとのことで、こうした現場を知るためのエピソードもいくつも含まれていました。

Hot Pepperミラクル・ストーリー―リクルート式「楽しい事業」のつくり方 Hot Pepperミラクル・ストーリー―リクルート式「楽しい事業」のつくり方
平尾 勇司

東洋経済新報社
売り上げランキング : 7682

Amazonで詳しく見る

自分で試しながら営業のやり方をつくっていって、これから組織を作っていくというタイミングだったのでとても参考になりました。

「運用型広告 プロの思考回路」はウェブマーケター必読

「運用型広告 プロの思考回路」というGoogle、Yahoo!、Facebook広告などの実践的な運用方法についてまとめられた本を読みました。

実際のクライアントの実績データを含めてどう改善していったかが解説されているので参考になりました。
運用型広告をある程度触ったことがあって、一通りの機能を把握している人向けの内容です。

現場でクライアントがどんな要望を持って運用しているのかがクライアント側担当者の雰囲気なども含めて書いてあります。フィクションなのか実施からかなり時間が経過したクライアントのキャンペーンについて許可を得て書いているのかわかりませんが、実際にありそうなシチュエーションが描かれています。

すごく良かったので社内で回覧しようと思います。

運用型広告 プロの思考回路 AdWords/Yahoo!/Facebook広告の効果を最大化するベストプラクティス (WEB PROFESSIONAL)
運用型広告 プロの思考回路 AdWords/Yahoo!/Facebook広告の効果を最大化するベストプラクティス (WEB PROFESSIONAL)

以下はやりきれてないところを自分なりにまとめたメモです。

リタゲをプレースメント指定してチューニングする。ある程度以上にリストの規模があるのにやりきれていないアカウントがなくなるまで実施。

Googleアナリティクスの「モデル比較ツール」でデバイス×メディア×配信手法ごとの間接効果を、起点、接点、終点の3つで算出。

アトリビューションとグループ、キャンペーンごとのLTVの組み合わせで費用対効果を計測しつつ運用する
単発ではなくLTVを考慮したROASで目標CPAを設定して広告を運用するのは意外とできてないことがある。クライアント側でLTV

Googleアナリティクスの拡張eコマース機能で、トランザクションデータ、クライント所有ユーザデータ、運用型広告データなどを紐付ける

ディスプレイ広告における類似ターゲティングの利用。コンバージョンしたユーザーに類似したユーザに広告配信。コンバージョンユーザの数がそれほど多くないサイトの場合は、フォームの訪問をリストにするなどして、できるかぎりコンバージョンに近いページで類似リストをつくる

「商品リスト広告」「動的検索広告」の利用

Facebook広告はプレースメントを設定せずにすべての掲載面に配信すると右側の広告枠に低いCTRの広告が掲載されてスコアが低下してしまう。それにより、ニュースフィードに掲載したいタイミングで広告が表示されず機会損失になる可能性がある。また、1つのキャンペーン内でもターゲットが同じでプレースメント設定だけを変えた広告セットが複数存在すると、右側の低CTRの広告がキャンペーン全体のパフォーマンスにも悪影響を及ぼす。スコアの観点からプレースメントが異なる場合には別のキャンペーンにしたほうが良い。

データフィードによる業種特化型の広告が増え続けるので、最新情報を常に集めて使えるものはちゃんと試す

スペースXの事業の進め方が参考になる イーロン・マスク 未来を創る男

イーロン・マスクはいま現在もっとも注目している起業家です。

火星に人を送るというビジョンでもあと数十年で実現しそうなペースで進んでいるスペースXという会社を経営しています。民間としては初となる様々な取り組みをして、実際にすでに多くの実績を残しています。

スペースX以外にも、決済サービスのPaypalの前身となるX.comや電気自動車のテスラモーターズなどを成長させたことでも知られています。

メモ

PaypalでCEOを務めていたときに、フライト中に取締役会に不信任動議を提出されてクーデターという形でCEOを解任されてしまったときでも、会社の相談役としての立場を受け入れて、投資を引き揚げることもしなかった。逆にペイパルの筆頭株主として自らの投資額を増やした。結果としてイーベイにPaypalが売却されたときに2億5,000万ドルとなった。

自ら技術を深く学ぶことで専門家に近いレベルまで学習してから、その分野のトップの層の人を探しに行って技術について討論したうえで知識量を推し量ってスカウトする

宇宙の事業をはじめるときに、まずは他の団体に寄付をするなどして、有名な人との関係性をつくるところからはじめた

最初の会社であるZip2を売却したことに関する振り返り
「もう1人の自分がいたとして、なんらかの指示をしても、半分も伝わればいいところだろう。そんなもう1人の自分が同じ結論にたどり着くわけがない。だから、『こう話したら、彼らにどんなふうに聞こえるのだろうか』と常に自問自答することが大切だ」 p80

何らかの遅れが発生した場合、責任者を徹底追求するが、マスク自身もあらゆる手を使って問題解決を支援する。あるスタッフの責任で打ち上げが遅れたときには、責任者に毎日2回状況を報告することを求める一方で、社内で問題解決に役に立つことがないかを気遣っていた。

Zip2やペイパルでの売却によって多額の資産をつくったものの、テスラとスペースXでほとんど使い果たし、テスラの給料支払いのために裕福な友人たちから借金をするほどだった。弟のキンバルも自らの資産を投資し続けた。

イーロン・マスク 未来を創る男 イーロン・マスク 未来を創る男
アシュリー・バンス,斎藤 栄一郎

講談社
売り上げランキング : 1102

Amazonで詳しく見る

最近では20年以内に車を所有することが馬を持つのと同じような状態になるという発言をするなど、テスラで自動運転車を研究しているようです。電気自動車も新しい取り組みで既存の車産業を大きく変えるものですが、さらに先を見てAIによる自動運転を実現するつもりのようです。
Uber、Googleなども参入している自動運転のマーケットは今後も加熱しそうですが、イーロンマスクがどういう取り組みをしてくるのか注目しています。

自動運転車はすべての交通機関のマーケットをひっくり返す可能性があると思います。日本国内ではトヨタなどの既存の自動車メーカーはもちろんDeNAも参入を表明しています。

また、自動車を個人で持たない時代がくることで、インドネシアやベトナムなどの途上国でひどくなりつつある渋滞の緩和にも貢献しそうです。数年でできると予定していた地下鉄の工期が何年も延長されるといったことはザラにあるので、電車や地下鉄の路線を巡らせるよりも自動運転者を後押ししたほうが早いかもしれません。

原理から未来を予測する方法を説明する「未来に先回りする思考法」

「未来に先回りする思考法」を読みました。将来をどう予測すればいいかがよくまとまっている良い本でした。

著者の佐藤 航陽さんは、アプリ分析とマーケティング自動化のツールmetaps(メタップス)や、オンライン決済のSPIKE(スパイク)を運営している株式会社メタップス社長です。上場前からかなり大きな規模のファイナンスをしていて、最近マザーズに上場されています。人口知能や宇宙といったテーマでも活動しているようです。

他の未来予測の本は著者の意見として具体的にどういった未来が到来するのかだけを解説したものが多いのですが、この本「未来に先回りする思考法」はどのように将来を予測するべきかを詳しく説明しているのが特徴でした。

未来は決まっていて、人にできるのはその未来の到来を早めることだけ

アイデア自体は、将来における「点」なのです。そのときは突拍子もないように思えても、時間の経過とともに、技術面や価格面でのブレイクスルーによってピースが埋まっていき、いつかどこかで進化の「線」に取り込まれます。問題はそのタイミングがいつかということです。

実は、テクノロジーを「点」ではなく「線」で捉えている人たちにとっては、どの事業を足がかりにするかという「道」はそれぞれ違えど、その「目的地」はほぼ同じです。
p63

タイミングが重要。早すぎても遅すぎてもダメ

以下は無線での送電を研究していたテスラの1904年のインタビュー。
結局テスラの実験は1917年に失敗に終わった。無線送電の技術は、2015年に三菱重工が実験を成功させた。テスラは100年も先に行っていた。

「ポケットに入れて持ち運べる安価で操作の簡単な装置によって、海上でも陸上でも受信でき、世界のニュースや、ある目的に合った特別なメッセージが伝えられるようになるだろう。こうして地球全体が、互いに反応し合う巨大な頭脳になるのである。わずか100馬力の施設一つで、何億もの情報器具が操作できるため、このシステムは実質的には計り知れない能力を発揮しうるし、情報伝達は大幅に簡易化され、費用も安くなるに違いない」p69

1904年の段階でこの内容を予測していた天才であってもタイミングが早すぎれば事業は上手くいかない。

国家と企業の関係の変化

強大な多国籍企業が今まで国家が担っていたインフラの部分すらも対応しつつある。これによって企業と国家の境界線が融解していって、共生関係を構築するようになっている。

中国でFacebookやGoogleが規制されたように、国家と多国籍企業の駆け引きがはじまっている。

ビットコインや電子マネー、ポイントなどが普及するに連れて、通貨発行権すらも国から企業に移行しつつある。電子マネーの普及は国家の徴税権が弱まっていくことを意味する。

未来に先回りする思考法 未来に先回りする思考法
佐藤 航陽

ディスカヴァー・トゥエンティワン
売り上げランキング : 1259

Amazonで詳しく見る

どれくらいの時間軸でこの本で記載されているようなことが実現すると予想しているのかによって人生変わってくるなと思いました。
多くの人が自分が生きてるうちにはそんなことは実現しないであろうと考えているけれども、近いうちに実現する見込みがあるという分野に注力するのは生き方として面白そうです。タイミングが早すぎてまったく芽が出ないというのもあり得ますが、ほとんどの人に早すぎると言われて反対されるくらいがちょうど良いのかなとこの本を読んでいて感じました。

ライティングの基礎知識を学べる教科書「新しい文章力の教室 唐木元」

「新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング」を読みました。著者の唐木元さんはコミックナタリーの元編集長で、社内の新入社員を対象とした唐木ゼミというトレーニングの内容が元になっています。

専業のライターなら無意識に行っているはずの思考プロセスがライター未経験の新入社員には備わっていないため、それを教えていく必要性から生まれたメソッドを本でまとめてくれています。

基礎が全然わかっていなかったという気付きを得ることができた本でした。

以下内容の一部をまとめたものです。

良い文章は完読される文章

この本では、良い文章を「完読される文章」と定義して、それを目指してどう文章を書くかを説明しています。

書き始める前に主眼(テーマ)と骨子(要素、順番、軽重)を用意します。
まずテーマを決めて、それからそのテーマを伝えるために、何を、どれから、どれくらい説明するのかを決めるという流れで文章を書きます。これを筆者は構造的記述と読んでいます。

いきなり書き始めると悩んでしまって書けなくなるので、要素を揃えてから書き始めることを推奨しています。
プラモデルにたとえていて、プラモの箱絵、パーツ、取り扱い説明書の3つを用意することで作成しやすくなると説明しています。

箱絵: どんなことを伝えるのかという目的の部分
パーツ: 何をいうかトピック化してまとめたもの
取扱説明書: どれから、どこを重点に組み立てるのか

これらの要素を準備すれば、書き始める前に主眼と骨子を決めておくことになり、書きやすくなります。

原稿を書くまでの準備と流れ

パーツを揃える

これから書こうとしている原稿に含まれそうなトピックを箇条書きで洗い出します。
順番や整合性などは気にせず手持ちの情報や話題をリストアップすることになります。
抜け漏れをなくすために5W1Hを使います。

情報を集めるプロセスを取材と読んでいるとのことです。

文章の主眼を決める

同じ事実やトピックを元にした記事でも、人によってメインとする切り口が違います。同じ元ネタから記事を書くのでも、書き手によって選択する切り口が変わってきます。自分なりの切り口を提示しているかどうかが、リライトとオリジナリティがある原稿の違いです。

骨子を立てる方法

骨子は要素、順番、軽重の順番に決めます。

リスト化したパーツの中から、どれについて書くかを選び、次にどういう順番で説明し、最後にABCの3段階で重み付けをして特にアピールしたい箇所を決めます。

避けるべき表現やありがちなミス

上記の文章を書き始めるまでの流れが特に参考になりました。それ以外にも発生しがちなミスとそれを防ぐための方法などが後半で大量に解説されていてとても役にたちます。

誤植の頻発ポイントでは事実確認を厳重に行う

人名やグループ名などの固有名詞は間違いやすいので、公式の情報源からコピペします。
最上表現や数字の部分は事実確認をきちんと行います。

濁し言葉は思いきってとる

など、といった、ほか、らなどの記述したもの以外にも何か他があることを示す言葉を濁し言葉と読んでいて、それらは場合によっては削ってしまったほうが良いこともあります。

伝聞表現は避ける

伝聞(だそうだ、とのこと、といわれている)や推量(らしい、のようだ、だろう、と思われる、と考えられる)などは使わない。裏が取れている事実は人づてでも断定的に語ることでキャッチーさが増します。

修飾語句の順番

複数の修飾語句を並べるときには長いものほど先に置きます。
また、意味合いとして大きな状況を示す修飾語句は先に並べます。

「らしさ」、「ならでは」には客観的な根拠を添える

らしさ、ならでは、おなじみといった表現を使うと、読み手に既知であることを要求することになってしまうため、客観的な根拠を添えるようにします。また、「人気」「豪華」などの主観的な評価をともなう単語も客観的な根拠を加えます。


人気コミック → シリーズ累計○○○万部の人気コミック
豪華キャストで → 日本アカデミー賞受賞俳優の○○主演で

新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング (できるビジネス) 新しい文章力の教室 苦手を得意に変えるナタリー式トレーニング (できるビジネス)
唐木 元

インプレス
売り上げランキング : 708

Amazonで詳しく見る

エコツーリズムの組織づくり、マーケティングの事例が豊富な「観光ガイド事業入門 藤崎達也」

最近インバウンド観光に関連した仕事をすることが増えてきているので、観光に関連した本を読んで勉強しています。

『観光ガイド事業入門 立ち上げ、経営から「まちづくり」まで』では、東京から北海道の知床に引っ越しして観光ガイド事業をはじめた著者の藤崎さんによる観光ガイドビジネスの立ち上げ方法がまとめられています。

藤崎さんが企画もしくは支援をしたエコツーリズムの事例が豊富に掲載されていて参考になります。どのようなツアーが人気を博しているかの紹介にとどまらず、ガイド事業の立ち上げのためにどう組織をつくっていくかが説明されているのが良かったです。

組織づくりのタイプについての説明の中で、行政、観光協会、商工会などの組織が中心になっているタイプと、個別の民間企業がはじめるタイプ、趣味やボランティアの組織の延長ではじめるタイプなど、それぞれについての特徴と、どう進めればいいのかのアドバイスが掲載されています。観光ガイドに向いている人の性格や、採用したガイドの教育、育成方法が藤崎さんの経験を元にまとめられていて、これから立ち上げるときに目安になりそうでした。

法人化についてはNPO法人と株式会社の違いについてまとめられています。

ガイド事業の経営についても触れられており、組織として継続するために最低限必要な1人あたりの売上はだいたい年間1,000万円など、非常に具体的な数字と一緒に売上、コスト、利益などについて目安となる数字があります。ツアーの企画、価格決め、流通、広報・宣伝などツアービジネスのマーケティングの流れもそれぞれの項目ごとに丁寧に解説されており、この順のとおりに進めていけばひな形となる観光ガイド事業の事業計画書が作成できそうでした。

ただ単にガイドがどのような仕事なのかを紹介しているだけでなく、ビジネスとして事業の継続を目指す前提で説明がされているのでとても参考になる本でした。

地方で観光に関連した新しいビジネスを立ち上げて、その地方の魅力をほかの地方の人に伝えつつ、現地の人の雇用を増やしてまちづくりにつなげていく仕事は今後求められることが増えそうです。地方の観光資源を活かして、現地の人が自立してビジネスを継続できるようにサポートすることはすごく意義のある仕事だと思いました。

観光ガイド事業入門: 立ち上げ、経営から「まちづくり」まで 観光ガイド事業入門: 立ち上げ、経営から「まちづくり」まで
藤崎 達也

学芸出版社
売り上げランキング : 470009

Amazonで詳しく見る

グーグルの人事責任者による採用、育成、評価方法「ワーク・ルールズ!」

ワーク・ルールズ!はグーグルの人事担当上級副社長のラズロ・ボックによるグーグルの人事制度を解説した本です。
ラズロ・ボックは2006年にグーグルに入社して、従業員が6,000人から60,000人になるまでの過程で人事の仕組みを構築してきた人です。
グーグルがどのように採用や人事制度の構築に試行錯誤してきたかがわかって参考になります。

1.仕事の意味をもたせる
2.人を信用する
3.自分より優秀な人だけを採用する
4.発展的な対話とパフォーマンスのマネジメントを混同しない
5.「2本のテール」に注目する
6.カネを使うべきときは惜しみなく使う
7.報酬は不公平に払う
8.ナッジ-きっかけづくり
9.高まる期待をマネジメントする
10.楽しもう!(そして、1に戻って繰り返し)

以下は印象的だった点に関してのメモです。だいぶ省略されている箇所があると思います。

透明性が重要だと考えていて、新しく入ったエンジニアにもソースコードはほとんどオープンになっている。また、役員会の数日後には役員がどういった資料でプレゼンテーションが行われたかを共有している。また、定期的にCEOに直接質問できる時間が設けられている。

多くの企業が社員のトレーニングにかなり大きな金額を投資しているが、トレーニングに使う予算を使って最初から優秀な人を雇うことができるならそうするべき。A.成績上位10%の人材を採用して、すぐに素晴らしい仕事をしてもらう、B.平均的な成績の人材を雇い、トレーニングで上位10%にする という2つの選択肢をくらべたとき、あきらかにAのほうが効率がよいが、実はコストもAのほうが安いかもしれない。

gHireというGoogleが自社で構築したツールをつかって、求職者を追跡、管理している。一握りの傑出した企業についてはほぼ全員のリストを作り、誰がGoogleにフィットしそうなのかを評価している

優秀なエンジニアのチームが他の国にいたときに、そのチームの採用のためだけに現地オフィスをつくった

面接者を支援するためにqDroidというツールをつくっている。面接者が求職者に担当させようと思っている仕事を選んで、テストしたい属性にチェックを入れると、質問事項を自動的にはきだしてくれる。これによって有効な質問を出しやすくなる。

採用に関して当初すごくエリート主義だったのが、少しずつ学歴に対する意識を改めていった。

初期は採用に慎重になりすぎていて、最大で25回もの面接をしていたこともあった。しかし調べた結果、4回の面接で86%の信頼性で採用すべきかを判断でき、その後の面接では1回につき1%しか予測精度が向上しなかったために、最大4回に面接の回数を制限した。

グーグルガイストという匿名でスタッフ向けにアンケートを取る仕組みがある。3人を超える回答者を部下に持つマネージャーは全員、部下の回答を元にしたレポートを受け取る。これによってマネージャーは自分のやり方をチームメンバーがどう見ているかがわかる。

業績評価と人材育成は完全に切り離して取り組むべきもの。

ミーティングの前後で簡単なフィードバックをすることで日々改善される。

社員のトレーニングは管理職にとって最も効率の高いパフォーマンスを出せる仕事のひとつ。

G2G(グーグラートゥグーグラー)という社員同士で教えあう仕組みがある。仕事に関連した専門的なものから、純粋な娯楽まで両方含まれている。

社内でアワードを開催して、インセンティブを出すときには、お金ではなくて経験(旅行、ディナー2人分やタブレットなど)を支給したほうが満足感が長く続く。

子供の職場参観、親の職場参観を開催している。

ほんの小さな働きかけ(ナッジ)で社員の行動が変わる。新入社員のために簡単なチェックリストを用意しただけで、より早く研修を終えて、25%早いペースで戦力になった。
1.仕事の役割と責任について話し合う
2.ヌーグラーに相棒をつける
3.ヌーグラーの社会的ネットワークづくりを手助けする
4.最初の半年は月に1回、新人研修会を開く
5.遠慮のない対話を促す

ワーク・ルールズ!―君の生き方とリーダーシップを変える ワーク・ルールズ!―君の生き方とリーダーシップを変える
ラズロ・ボック,鬼澤 忍,矢羽野 薫

東洋経済新報社
売り上げランキング : 64

Amazonで詳しく見る

以前読んだ「ALLIANCE 人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用」と同じように組織をつくっていくときの参考になる本でした。

退職前提の雇用とコミットメントのタイプを説明した「ALLIANCE 人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用」の感想和僑として働く

日本のインバウンド観光の問題点と今後の誘致施策「新・観光立国論」

日本のインバウンド観光施策の問題点を各種調査データを元に指摘して、どのような取り組みをすれば外国人観光客が日本により訪問してくれるようになるかがまとめられています。

著者のデービッド・アトキンソンさんは日本在住20年以上で、有名な投資銀行のゴールドマンサックスでパートナーまで務めたアナリストの方です。2009年に京都で創立から300年以上の国宝、重要文化財の補修を手がける小西美術工藝社に入社し、現在は取締役として経営をされています。

元アナリストということで、様々な調査のデータを用いて日本の観光産業の問題点や伸びしろを指摘しています。

経済効果に寄与する要因は何なのかということを分析して、それを解決するためのいくつかの案を提示しています。たとえば日本に来た時に1人あたりの消費金額が高い国はどこで、それらの国の人に日本に訪れてもらうためにはどういう施策をすればいいかといったことです。また、訪日観光客の客単価をいかに上げるかの案もいくつか提示しています。

あと、訪日外国人旅行にアピールしたいポイントとして日本人が挙げている点が間違っていると痛烈に批判しています。たとえば、治安がいい、マナーが良い、交通機関が正確といった点が外国人観光客に注目してもらえる点と考えている日本人が多いという調査があるそうなのですが、これらを理由にして日本に観光に来る人はいないと断じています。
たしかに少し考えれば治安やマナーが良いという理由で観光地を選ぶ人はいないということがわかります。あまりにも治安が悪ければ行くのを避けるかもしれませんが、ある程度治安が保たれていて最低限の基準さえ満たしていれば、海外旅行で選ぶ国を考えるときに治安を主な要因として選ぶ人はいないでしょう。

デービッド・アトキンソン 新・観光立国論 デービッド・アトキンソン 新・観光立国論
デービッド アトキンソン

東洋経済新報社
売り上げランキング : 218

Amazonで詳しく見る

最近インバウンド観光に関連した仕事をよくするようになってきたので、参考になるところの多い本でした。また、他のインバウンド観光についての本ではアジアの観光客を主なターゲットとして集客、おもてなしをする方法がまとめてあることが多いのですが、「新・観光立国論」では、著者がイギリス人ということもあってか、より所得水準の高い層である欧米系の観光客を対象にするという観点で説明されていたのが新鮮でした。

退職前提の雇用とコミットメントのタイプを説明した「ALLIANCE 人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用」の感想

「ALLIANCE 人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用」は、スタートアップを経営している人であればみんな知っているであろうペイパルとリンクトインの創業者であるリード・ホフマンによる新しい雇用の考え方を説明した本です。

たいていの人事関係の本ではいかにして辞めないようにして長く働いてもらうかという観点で説明されてることが多いですが、ALLIANCEでは数年で退職するのは当たり前で、退職する前提でどう一度入社した人と良い関係を築いていくかがまとめられています。

最近では日本でも終身雇用という考え方に無理があるという認識が少しずつ浸透してきた感はありますので、企業を卒業した人のネットワークを活用するというのは参考になると思いました。人材の流動性が高いシリコンバレーでは日本よりもはるかにすぐに転職を考える人が多いために、退職者との付き合いかたに関しても考え方が進んでいるようです。
参考になるところの多い本でした。

以下はメモです。

辞めた人とも良い関係を維持しておいて、会社にとっても元従業員にとってもメリットのあるようにする取り組みだけでなく、在職期間中に退職するかもしれない前提でコミットメント期間を定める方法も解説されています。

仮に転職することになったとしても、在職してくれている数年間で最速で成長してもらうのが双方にとってベスト。

転職に対してオープンに上司に相談してもらったほうが、その転職のためにどういったキャリアを積みたいかを双方で相談できてよい。
本人のやりたいことが実や社内でもできるかもしれない。
また、結論として退職することになったとしても、突然転職されてしまうよりも事前に相談を受けて年数の目処がついて
いたほうがずっといい。

面接の段階で弊社で働いたあとは何をしたいかを聞く。これによってキャリアパスの支援ができる。

コミットメント期間の3つのタイプ

ローテーション型

工場のラインや大企業のホワイトカラーに代表される様々な箇所を数年ずつ経験していく方法。
社員がどの部署が自分に合うかを確かめる期間となる。

変革型

社員ごとにパーソナライズされているのが特徴。
期間を一定に定めるというよりかは、特定のミッションを完遂することが重要視される。
内容は上司と本人で話し合って決める。

基盤型

人生と会社の方向性が完全に一致しており、その人にとってその会社がキャリアや人生の基盤となっている状態。
会社での使命が自分の終生の仕事だと考えて、会社も同様にとらえる関係性。

それぞれのメンバーがどの状態にあるのかを本人と話し合ったうえで判断していく。

ネットワーキングや情報収集能力を高めるために

そもそもネットワーク力が高い人を採用する

積極的な姿勢で社外と情報交換するように促す。友人知人に聞くべき質問などを社内で蓄積していく。

・業界の方向性を決めるカギとなる技術のトレンド
・他社の現在の取り組みは?成功しているか?失敗か?
・顧客の心情について。どんな気持ちが彼らを動かしているのか?彼らはどう変わったか
・手を組むべき業界内のキーパーソンは?
・業界内の人材採用のトレンドは?
・業界への新規参入組はどんな人たちか?面白いことをしている企業はあるか?
p.133より引用

ただ情報をもらうだけではダメなので、社外の人に何か聞くときには、上記のような質問への回答を自分たちでも用意しておく必要がある。

誰かが情報を得た時に、それが社内で共有されるようにしておくことも重要。
社内の連絡用ツールでアップされても読まれなければ無価値なので、打ち合わせのときなどに専用の時間をとってちょっとした情報が共有されるようにする

ネットワークを強めるための制度をつくる

・社員のためにネットワーキング予算を設ける。社外の人との食事代など。
・社員による講演会の企画
・自社オフィスでのイベント開催

制度を作っても利用されなければ意味がないので、
ネットワーキングの重要性を説明する、経営者が積極的に制度を利用してみせる、課題の相談ができそうな社外の人のリストをつくるなどをする。

卒業生ネットワークをつくる

卒業生ネットワークをつくり、退職した人ともいい関係を作っておくことは双方にとってメリットがある。
会社にとっては、やめた人から人材を紹介してもらえる、出戻りの率があがる、情報を教えてもらえる、顧客を紹介してもらえるなど。
退職者にとっては会社から転職先を紹介してもらえる、退職者同士のネットワークが使える、やめた企業から仕事をもらえるなど。

現役、退職した人の両方を含めたネットワークをオンラインでつくる、定期的にイベントを開催して食事代の費用を負担するなどのそれほど大きくない投資でもやる意義がある。

ALLIANCE アライアンス―――人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用 ALLIANCE アライアンス―――人と企業が信頼で結ばれる新しい雇用
リード・ホフマン;ベン・カスノーカ;クリス・イェ,篠田 真貴子;倉田 幸信

ダイヤモンド社
売り上げランキング : 492

Amazonで詳しく見る

感想

試してみようと思えるところの多い本でした。意識としてごく一部の人以外は誰もが数年で辞める可能性がある前提で会社と従業員が考えていたほうが、お互い健全な関係だと思いました。

自社で働いたあとにどのようなことをする予定なのかという質問を私もよく面接でしているのですが、その人のキャリアへの意識が見えるので参考になります。

鈴木さんにも分かるネットの未来 コンテンツの未来がわかる本

鈴木さんにも分かるネットの未来という本がすごく参考になりました。インターネットやコンテンツに関連した仕事をしている人は必読だと思いましたので紹介します。タイトルからネットにあまり詳しくない人向けなのかと思いましたが、ある程度ネットやコンテンツビジネスについて知っていることが前提になっているようでした。

著者の川上さんは株式会社KADOKAWA・DWANGOの代表でスタジオジブリに弟子入りして鈴木敏夫プロデューサーと過ごしていたということです。

プラットフォームとコンテンツ提供側の駆け引き

特にプラットフォームとコンテンツ提供事業者が今後どう立ち回っていくのかが整理されている点がよかったです。
プラットフォームとコンテンツの力関係によってどう行動するのが良いかが説明されている箇所が参考になりました。コンテンツ提供をしている会社につとめている人が読むと今後のプラットフォームへの参加方針に影響があると思います。
角川(コンテンツ提供側)とドワンゴ(ニコニコ動画というプラットフォーム運営)の両方を見ている川上さんだからこその内容だと思います。

コンテンツの価格はどう決まるか

利用者の相場観によってコンテンツの価格が決まっていて、相場感をどう操作するかが重要というところが印象的でした。
MMOを例にして、コンテンツを更新していってそれをダウンロードする権利を売るというような、どうしたらコピーされずにお金を払っているかについて書いています。

なんでも無料になっていく流れの中で、結局誰かがコンテンツの制作費用を負担するので無料にはならないと説明しています。その箇所でお金を払ってもらう仕組みを具体的な案としていくつも説明していたのが参考になりました。

ネットに国境はできるか

ネットに国境を置くべきかどうかという説明もとても興味深かったです。税金や法律の観点から政府がネットに国境がつくるべきかが書かれていて、実現可能性はともかくとして、各国が規制を強化して国境をつくる動きができるだろういう予測がされています。
ここでいう国境は、特定のサイトやIPを国内から閲覧できないようにすることを指しています。海外のサーバを止めさせたりするのは各国の法律が異なることを考えると難しいためです。国内企業は規制されている状態なのに、海外企業は日本の法律を守らなくて良い状態は、実質海外の企業を優遇しているのと変わらないので、なんらかの規制が必要としています。

すべて電子書籍に置き換わるまでの流れ

電子書籍に置き換わるのは明らかというスタンスで、そこに到達するまでのステップが予想されています。

他の話題としてはネットテレビ、ビットコインなどがありました。
いずれもトラフィックなどの論理的な観点から現状を分析して今後どうなるのかを予測しています。

鈴木さんにも分かるネットの未来 (岩波新書) 鈴木さんにも分かるネットの未来 (岩波新書)
川上 量生

岩波書店
売り上げランキング : 212

Amazonで詳しく見る