Category書籍紹介・書評

危機的状況に備える心構えにつながる本「世界はすでに破綻しているのか?高城剛」

タイ、韓国、アルゼンチン、スペイン、ギリシャ、キプロス、ロシアなどの世界中のデフォルトの事例について解説してくれている本です。過去数十年の間に多数の国がデフォルトしていて、中にはアルゼンチンのように何度も繰り返している国もあります。突然環境がガラッと変わって銀行からお金が引き出せなくなったり、預金していた資産が没収されたりといった悲惨な状況はなぜ発生して、人々が当時どうやりくりしていたのか説明されています。最近の歴史から今後の予測をするのに役立ついい本でした。

世界のデフォルト国家一覧表で1945年以降にデフォルトした国が一覧になってますが、長いスパンで見ればたぶんどの国でも起こりうる状況だということがわかります。

日本の経済がデフォルトに向かっているということについてはあまり詳しく説明されていない本なのですが、他国の事例を多数並べることで、日本でも同様のことが起こりうるし、デフォルトになる前やなったあとにどう行動すべきかを考えることを遠回しに提案しているように思いました。

世界はすでに破綻しているのか? 世界はすでに破綻しているのか?
高城 剛

集英社
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為替相場をドルにリンクさせてかつ金利を高く設定して海外からの投資を呼び込んで成長していったタイをはじめとした国が、アメリカのドル高政策への転換によって一気に通貨危機に陥った経緯などが解説されています。また他の国でも大国の方針転換で小国の経済がガラッと変わる可能性は十分にあり、いざというときに備えておくことが必要だと感じました。

経済成長している間は格差が少なくなり、成長率が低くなると格差が広がって、戦争などの大きな変革があってその格差が是正されるというサイクルをどの国も繰り返しているらしいです。今の日本やアメリカは格差が広がるタイミングだと思うのですが、どれくらいの期間で揺り戻しが起こるのかを考えておくと何か決めるときの参考になるかもしれません。

日々発表されている経済指標などから、マズイ状況に進みつつあることを察知することを意識しておかないと、突然外国にあった資産が消えてなくなるということがありそうです。僕は実際には1つの国に依存しないように分散させておくつもりですが、アジア通貨危機のときのようにパニックが連鎖して複数国で同時に打撃を受けることもあるので気をつけます。

コンテキスト思考 論理を超える問題解決の技術

音声、文字、数字などのデータとして物理的に認識できるものを「コンテンツ」と定義し、「コンテンツ」の背景や前後関係、文脈などの物理的に認識できないものを「コンテキスト」と定義して、コンテキストの重要性について説明している書籍です。

仕事でウェブサイト向けのコンテンツを作成するにあたって、コンテキスト踏まえたものを作らないと価値が出せないなと思っていたところでちょうど以下の記事を読みまして、この書籍が紹介されていたので読んでみました。
3年後に生き残るアフィリサイトを考えてみた① – たかぽんアンテナ

参考になりました。具体的にアクションにつながりづらい本ではありましたが、頭の中に考え方を入れておくとたまに現状を客観視するきっかけになりそうです。

コンテキスト思考 論理を超える問題解決の技術 コンテキスト思考 論理を超える問題解決の技術
杉野 幹人,内藤 純

東洋経済新報社
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以下メモです。

「コンテキスト」の重要性についての説明として以下の記載が腹落ちしました。セブン&アイ・ホールディングス鈴木敏文会長によるコメントとして紹介されていました。以下は要約です。

『POSなどは入れようと思えばどの会社も入れることができて同じようなデータを収集することができるが、大切なのは人間による仮説・検証であって、POSはあくまでも仮説が正しかったかどうか検証するためのもので、POSがの売上ランキングのとおりに発注するわけではない。自分なりに常に問題意識を持って、仮説を立てていく必要がある。

POSが出した売上の数字「コンテンツ」をそのまま読むのではなく、背景にある「コンテキスト」を読み解くことを日々繰り返すことで、競合が至っていない顧客の深い理解につながる。』

コンテキスト思考のフレームワークとして、1.関係性、2.自らの価値観、3.目的の3つをあげています。

関係性には、因果の関係性、補完の関係性の2つがあります。
因果の関係性を理解することで、コンテンツとらわれて解決策を見つけるのではなく、モノゴトの関係性を理解して打ち手を出すことで、小さなインプットで大きなアウトプットを得る視点につながります。
補完の関係性を理解することで、モノゴト同士のつながりをコンテキストから推測して、集まることで新しい価値をつくるというユニークな視点を得ることにつながる。

価値観は「周りがどんな「価値を」見出すかは関係なく、自分自信にとっての「価値」を見極める深層心理に潜むモノゴトの捉え方(p.113)」と定義されています。ぶれない自分軸というコンテキストを持つことが、価値のあるモノゴトを素早く見極めて選択する意思決定力を生み出し、おもしろい成果を得ることにつながります。
周りが価値を見出しているものに自分も価値を見いだそうとしてしまう価値観もどきに注意する必要があります。他者の価値観に追随することは同質化につながり、差別化不全に陥ることになります。オペレーション改善のために競合ベンチマークをし、差別化されていたオペレーションを同質化してしまうというようなことは避けなくてはいけません。

ありたい姿は目標(コンテンツ)と目的(コンテキスト)にわけることができ、目的(コンテキスト)は曖昧模糊としたものでそのままでは他者と共有しづらく、記憶に残りづらい。目的というコンテキストが共有されずに目標だけが組織に理解されていると、やらされている感や、本当にその目標に向かうべきなのかという懐疑心、不安などが出てきてしまいます。
表面的な目標とその達成のための構想をロジカルに説明しても、背景のコンテキストの共有が不十分だとひとりよがり。
ただし、目的の共有による共感に頼って論理をおろそかにせず、論理も尊重する。

スタートアップの採用・人事のための本「急成長企業を襲う7つの罠 水谷健彦」

スタートアップやベンチャー企業の人事におすすめの本でした。メモをまとめました。

急成長企業を襲う7つの罠 急成長企業を襲う7つの罠
水谷健彦

ディスカヴァー・トゥエンティワン
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伸びているときこそメンバーのモチベーション管理がおろそかになる

メンバーの能力にあわせて安易にポストを新設していくと、無駄な中間作業がただ増えることが多い。
例として営業事務が本当に効率につながっているのかなど。

選民思想の発生。急激に伸びていると自分たちの商品やサービスがすごいものだと思い込んで、あわないのは顧客のせいという発想になっていく。

経営価値観、判断軸を明確にして管理職の意思決定の指針とする

マネジメントに求める役割を階層ごとに分類

コンセプチュアルスキル
ヒューマンスキル
テクニカルスキル

上位階層のローテーションをすることでコンセプチュアルスキルを高める。
自分がいないとその部署が回らないというのは管理職の能力不足の証明だと伝える。

企業の認知度が上がり、会社として採用力が高まってくるとブランドとスペックを重視した盲目的採用に陥り、採用してもあわなくてすぐ辞める人が続出する。能力ではなくマインドで採用する。企業の価値観や文化を多少おおげさに伝えることで、あわない人が入らないようにする。

能力で採用する場合には、どのような経験やスキルがあるかを因数分解して評価・認識する。

長期的視点を強くしたい経営と、近視眼バイアスに影響され短期視点にとらわれてしまう現場との衝突が必ず発生する。見ている視野が違うため。
そのため、長期的な視点をもたざるを得ないルールを設計することが必要。

近視眼的バイアスの他にも以下のようなものがある。

参照点バイアス
都合のよい参照点を設定し、そことの比較に甘んじること。昨年比で少し良くなったから問題ないとするような考え方。過去を参照点とせずに、業界トップなど自社の先を行く企業を参照点として設定する。

同調性バイアス
組織の雰囲気に影響されるバイアス。目標達成者の割合は7割くらいに設定する。達成率が低すぎるとどうせ出来ないと考えるようになる。ネガティブインフルエンサーが社内に出たときは、伝染するので強く改善を促し、駄目なら退職してもらう。

現状維持バイアス
過去の成功例をひきずる。いま上手くいっているのだから変える必要がないという考え方。経営と現場でイメージしているスピード感が違うので起こりがち。外部の視点を定期的に入れることで、当たり前を疑う機会をもつ。

積極的に経験を積む機会を与えているつもりなのにもかかわらず、成長意欲旺盛な新卒社員が、どこでも通用する専門能力を求めて離職するようになる。

職種や職場に依存するテクニカルスキルではなく、コンセプチュアルスキルやコミュニケーションスキルなどのポータブルスキルを身につけるべきということを伝えることで、テクニカルスキルへの幻想を捨てるように促す。

いったん任せたら、上司は口を出さない。相談や確認を求めてきたときに都度詳細を指示していたら、本人が葛藤、決断をする経験とならない。任せる案件と任せない案件の目利き力を上司が身につけて、適切に部下に経験を積ませる必要がある。

「400万人に愛される YouTuberのつくり方 HIKAKIN, 鎌田和樹」で動画制作の参考になりそうな点のメモ

「400万人に愛される YouTuberのつくり方 HIKAKIN, 鎌田和樹」は、YouTuberというYouTubeの広告収益で生活している人の書いた本です。最近YouTubeがテレビCMでHIKAKINを起用して交通広告なども出しているのでだいぶ見るようになってきました。
会社で日本の観光情報を紹介するサイトをつくってまして、そのサイト向けのYouTubeチャンネルをちょうど開設したところだったので、動画制作の参考になるかと思って読んでみました。

400万人に愛される YouTuberのつくり方 400万人に愛される YouTuberのつくり方
HIKAKIN,鎌田和樹,日経トレンディ

日経BP社
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以下メモです。

・動画のタイトルと、再生前のサムネイルで目立つことが重要

・サムネイルはスマホで見ることを考慮して文字を大きくする

・冒頭の挨拶をテンプレ化してチェンネルがすぐわかるようにする

・動画の最後にチャンネルやTwitter,LINEなどを紹介して登録を促す

・あまり機材や画質にこだわる必要はないが、三脚やカメラや編集用PCなど最低限の投資をする

・分野ごとにチャンネルを分ける。ただ、あまりトラフィックがない状態でやっても無意味だと思われる。メディアをプロモーションする目的で動画中心でなければあまり意味が無いかも
・互いのチャンネルを紹介しあって登録者を増やす。

・動画をアップしてから30分から1時間で成否がわかる

・YouTubeの再生回数はいったん301回で止まって、2~3時間後にようやく反映される

・Youtubeクリエイターハンドブックに参考になる情報がまとまっている
https://www.youtube.com/yt/playbook/ja/

著者の関連サイト

HikakinTV
https://www.youtube.com/user/HikakinTV

uuum Youtuberのためのプロダクション
http://www.uuum.jp/

YouTuberもuuumも存在は知っていたのですが動画をちゃんと見たことがなく、この本がきっかけでいくつかチャンネルを見てみたのですが、想像していたよりだいぶ面白かったです。TVの代わりに見続ける人も増えていそうだと思いました。

もっと早く読んでおけばよかった起業・独立する人におすすめの本3冊

知人に質問されたので過去に読んだものを引っ張り出してきてまとめてみました。

上から順番にオススメな本です。これから起業・独立もしくは副業として自分で何かしらの事業を立ち上げようとする人にオススメです。

新規事業を開業するときに、学者の人が書いた経営戦略やマーケティングの本を読んだり、大成功した起業家の自伝的な本を読むことは、参考にならないとは言いませんが、自分の行動に落とし込みづらいというのがあります。もちろん志やモチベーションを高め、視点を上げるという意味では良いのですが、そういう本ばかり読んでいても書いてあることを行動に移せなければ何も変化がおきません。

そういった意味で実際に会社を経営したことがある人が書いていて、かつすぐに何かしらの行動につながる実践的な本を読むほうがよいと考えていますので、その観点から選んでいます。

あと、そもそも起業・独立のノウハウを本から得ようとするのは間違いな気もしますが、読んでおいて損はないと思います。

1. はじめの一歩を踏みだそう マイケル・E・ガーバー

たぶんいままで50冊から100冊くらいは起業、経営などについての本を読みましたが、いままでのどの経営・起業本よりも役にたちました。

「起業家」「マネージャー」「職人」の3つの人格があり、ほとんどの創業者はずっと中心的プレーヤーでありつづけようとして、「職人」のまま忙しさに忙殺されて、いつまでも自分がいないと回らない会社をつくってしまい、自分のキャパシティの限界の時点の規模で止まってしまうということが指摘されています。

創業者がチームメンバーと協力しつつ現場を離れて、仕組みで会社を回していくかことがいかに大切かがよくわかります。

会社つくって5年もたって読んだのですが、もっと早く読んでおけば初期の行動がだいぶ変わっただろうと思う本でした。

サービスの細部まで設計して均質なものを提供できるようにするということをどう徹底するかについて以下のIBM創業者の言葉が印象的でした。

そして、三番目の理由は、私がIBMを立ち上げて間もないころから、優良企業の経営者と同じくらいの厳しい基準をもって経営しようと心がけたことです。なぜなら、平凡な会社が突然、優良企業に変身することはできません。優良企業になるためには、会社を立ち上げたときから、優良企業のようなしっかりとした経営をしなければならないのです。
IBMでは創業当初から、将来のIBM像という青写真がありました。そして毎日毎日、その将来像に近づけるような努力を重ねてきたのです。毎日、仕事が終わったときには、その作業がどれくらい進んだのかを確認していました。そして現在の姿と現在あるべき姿にギャップがある場合には、そのギャップを埋める仕事が翌日の課題となったのです。 p.89

はじめの一歩を踏み出そうは圧倒的に参考になるので、これから会社をつくる人はとりあえずこれ1冊だけは最低限読んでおくことをオススメします。組織図を作成してそれを目指して採用やコミットメントを決める、オペレーションの質を継続的に高め続けてさらにそれをマニュアルに落としていき属人性を失くすなど、参考になる要素が満載でした。

はじめの一歩を踏み出そう―成功する人たちの起業術 はじめの一歩を踏み出そう―成功する人たちの起業術
マイケル・E. ガーバー,Michael E. Gerber,原田 喜浩

世界文化社
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2.大金持ちをランチに誘え! ダン・S・ケネディ

タイトルはちょっとうさん臭い感じなのですが、すごく役に立つ本でした。

「大量行動の原則」というのが説明されています。
要はやるべきことを出来るだけ多く考えて、できる範囲で全部同時にやるという当たり前のように思えるけれども意外とできていないかもしれないという内容がまとめられています。
大抵の人は1つの課題や問題に取り組むときに、2つか3つくらいで諦めて終わりにしてしまうところを、10~20はやることを考えてすべての方向からアプローチしてみるということです。

成功しているクリニック運営者の人の言葉が紹介されています。

私は、30人の新しい患者さんにきてもらうひとつのやり方は知りませんが、1人の新しい患者さんにきてもらう方法を30通りは知っています。そして私は、その30通りをすべて実行するのです p.181

起業家がどのような行動を起こして成功したのかを説明する例がいくつか紹介されているのですが、このような発想は創業期に新規のクライアントをとにかくがむしゃらに集めないといけない状態のときには参考になると思います。

素早くプロになる!7つの方法

以下の法則も参考になりました。最近まったく畑違いの事業を新しく始める機会があったので実際に試してみましたが、かなり良いと思います。

1.関連する業界紙や専門誌のバックナンバーを、少なくとも1年分見つけて読む
2.業界紙や専門誌に載っているたくさんの広告に問い合わせを出す
3.その分野での第一人者、成功者、有名人を見つける
4.「大御所」たちの書いた本を探す
5.業界団体やクラブに参加する
6.ワークショップ、セミナーに参加する
7.周到な下準備を怠らない(関連したあらゆる書籍や記事、その他の情報を検索する。ありとあらゆるテーマに関しての連絡先を見つけて連絡する)

大金持ちをランチに誘え! 世界的グルが教える「大量行動の原則」 大金持ちをランチに誘え! 世界的グルが教える「大量行動の原則」
ダン・ケネディ,枝廣 淳子

東洋経済新報社
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3. 60分間・企業ダントツ化プロジェクト 顧客感情をベースにした戦略構築法 神田 昌典

戦略やマーケティングについてわかりやすくまとまっています。
商品コンセプトや他社に埋もれないようなポジショニングを考えるときに参考になると思います。

経営戦略やマーケティングの本は大企業の事例を元に書かれていて、創業初期とは前提がズレていて関連づけがしづらそうなものが多いのですが、この本は中小零細企業や創業したばかりの会社でも役にたつと感じました。

60分間・企業ダントツ化プロジェクト 顧客感情をベースにした戦略構築法 60分間・企業ダントツ化プロジェクト 顧客感情をベースにした戦略構築法
神田 昌典

ダイヤモンド社
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番外 ゼロ・トゥ・ワン―君はゼロから何を生み出せるか ピーター・ティール

どちらかというと既に会社やってる人向きな気がしたのでおまけです。

大きく考えて、世の中を変えるようなビジネスを創るべきということがまとまっています。
誰もしていないまったく新しいことをするか、他社と10倍の差をつけるくらい圧倒的なものに高めるかみたいなことが説明されています。
読むととにかくワクワクしてくるのでオススメです。

ただ、最初に起業する人がこの本で紹介されている考え方で突き進むと、失敗する率がむしろ高くなるかもしれません。

目の前の仕事に忙殺されて思考の範囲に制限をかけてしまうのはありがちなことです。
起業家はリミットを外すような発想をする機会を頻繁に持つのが大切だと思いますので紹介しました。

ゼロ・トゥ・ワン―君はゼロから何を生み出せるか ゼロ・トゥ・ワン―君はゼロから何を生み出せるか
ピーター・ティール,ブレイク・マスターズ,瀧本 哲史,関 美和

NHK出版
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スマホのプラットフォーム戦争についてわかる「アップルvs.グーグル: どちらが世界を支配するのか」

アップルvs.グーグル: どちらが世界を支配するのか フレッド ボーゲルスタイン を読みました。スマートフォンの歴史について詳しく説明されている本でした。両社の内部事情がインタビューなどを通じて明らかになっていてiPhoneやAndroidの成り立ちがわかります。インターネット、通信、コンテンツの業界で働いている人は読んでおいて損はないと思います。

マーケットが巨大とはいっても、PCにおけるWindowsの寡占状態を考えると、スマートフォンでもプラットフォームに関して同じ状況になりそうだと説明しています。この本を読むまでは、何となくiOSもAndroidも両方とも維持されていきそれほど差がつくことがなくマーケットが2分されるかのような感覚でいたのですが、読んで考えが改まりました。

PCでのWindowsとマック、テレビでの液晶とプラズマ、DVDでのブルーレイとHD、ビデオでのVHSとベータマックスなど、規格としての争いに勝ったほうが圧倒的な差をつけてしばらくは持続的な利益を出せるようになるわけで、どちらが勝つのかを予測してそのプラットフォームに注力していくのはインターネット業界に身を置く人にとっては重要だと思います。現状でアプリなどを開発している会社の多くは両方のOSに対応して作っていますが、どちらか片方だけに会社全体で3年なり5年なりの時間を投下して、結果として負け側だったなんてことになったら大変そうです。

アップルvs.グーグル: どちらが世界を支配するのか アップルvs.グーグル: どちらが世界を支配するのか
フレッド ボーゲルスタイン,Fred Vogelstein,依田 卓巳

新潮社
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すでにAndroidのシェアがだいぶ高くなっているので、このままいくと低価格の端末でプラットフォームを抑えにいっているGoogleが圧勝しそうな流れです。Apple製品に手の届かない新興国の人たちがAndroidからスマホに入って、その後所得があがってきたときにiPhoneにスイッチするかというと、それほど大きな機能差は今のところはないためです。

また、いくらAppleといえどもサムスンをはじめとする世界中の端末メーカーと競って明らかな差を継続的に維持することはできないと考えます。仮に端末の使いやすさなどでかなりの差をつけたとしても、世界中のメーカーが真似してきますから、その差を維持できるのはせいぜい2年が限界でしょう。実際にAppleはサムスンを訴えて一部の国では勝っていますが、訴訟で販売差し止めしたり賠償金を獲得したりしても、対した抑止力にならないと思います。なぜならスマートフォンマーケットはすでに先進国だけでなく世界中になっているので、どこかで製造されている類似製品を訴えたところできりがないためです。サムスンと似たような類似性の高い商品を開発するメーカーは増えていく一方でしょう。

iPhoneは革命的な商品で、多くの人を魅了して圧倒的な差をつけたのは事実ですが、今後同じくらいインパクトのある商品をAppleが出せるかというとそんなに期待できないと思います。あと、そもそもプラットフォームを抑えるという意味ではすでに機能での勝負にはなっていないです。機能と価格のバランスを考えて、多くの人が100~200ドルくらいのAndroidのスマートフォンを買っているわけなので、そこで新しく誰も考えていなかったような機能が搭載された新しい端末を出しても求められていないかと思います。

つまり、端末の使いやすさや機能差が訴求ポイントになっているうちは、AppleはAndroidとの競争で対Windowsのときと同じ轍を踏むことになりそうです。シェアが高くなってアプリを開発する人が増えれば、それが有利に働いてより利用者が増えるという循環ができて、優位が維持されるためです。

AppleがiTunesのときのようにプラットフォームとしての新しい切り口を提示して一気に巻きかえす可能性も否定はできませんが、端末でも利益を出す構造から脱却するのはなまじ現在がすごく調子がいいだけに難しいのではないかと思います。プラットフォームを抑えるために、まったく新しい切り口の商品を出したり、簡易的な端末を廉価にして販売したりできるかがアップルに求められています。

本書でも触れられていましたが、Googleの課題としてキャリアやメーカーなどが独自のプラットフォームを地域ごとに作ってしまうということがあります。世界共通プラットフォームから抜けだして独自開発で進んだ場合、一時的にはより高い利便性のものができるかもしれませんが、すぐにより使いづらいプラットフォームになってしまうと思いますので、それほど脅威にはならなそうです。

創業期の仲間を集める方法と過程が描かれている「ともに戦える「仲間」のつくり方」

Facebookのタイムラインで見て、求職者に課金するタイプの転職サイトのビズリーチの創業者の方が書いた「ともに戦える「仲間」のつくり方」を読みました。筆者の方とお会いしたことはないのですが、人づてに順調に伸びているという話を何度か聞いたことがあるので興味を持ちました。

ビズリーチの創業時のエピソードがまとまっています。タイトルのとおり、特に仲間を見つけて、仕事を任せるまでの流れについて多くふれられています。

とにかく著者の南さんの行動力がすごいです。プログラミングやウェブの知識があまりない中、仲間を探すために、とにかくエンジニアとたくさん会ってそのたびに自分がやろうとしていることを熱意を持って伝えていき、参加したエンジニアの勉強会で出禁になるほど勧誘していたそうです。また、多くのエンジニアから打算的で一緒に働きたくないというような厳しい指摘を受けたことも描かれています。

よい人が見つからないみたいな話は多くの経営者から聞きますし、自分も何度も他の人に愚痴ってしまった気がしますが、そんなこと言ってる暇あったらとにかくたくさんの人とあうべきだと気が付かされます。南さんは会う人すべてに熱意を持って自分のやっている事業ややりたいことを伝えるようにしているとのことです。

「草ベンチャー」と表現しているのですが、他の会社でフルタイムで働いている人に週末などにタダで働いてもらっていたようです。筆者がいかに人を動かすのが上手いかがわかります。

ビジネス書というよりかは小説に近い印象です。

ともに戦える「仲間」のつくり方 ともに戦える「仲間」のつくり方
南 壮一郎

ダイヤモンド社
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わかりやすい小説形式でネットビジネスの本質を学べる「ネットで儲ける王様のカラクリ」

何度かECサイト運営やウェブマーケティングについて教えてもらったりとお世話になっている竹内さんの新刊「ネットで儲ける王様のカラクリ ~物語でわかるこれからのWebマーケティング」が出ていたので買ってきて読みました。これからはじめてネットビジネスに取り組む方にはぜひ読んでほしい本でした。業界ですでに働いている方はどこかで聞いたような話が多くて楽しめますし、新しい気づきもあると思います。

「ホームページ制作なんて、人間の仕事じゃない」
というキャッチーなフレーズが出てくるのですが、クライアントにまったく採算のあわないであろうサイト制作を提案する悪質な会社を登場させて、そこがどんなサービスを提供しているかを説明することで、どういうやり方が駄目なのかを伝える形式になっています。インターネットビジネスは外注して他社に完全に任せてしまう形で上手くいくほど甘くないということがよくわかります。

自社の強みを活かしてちゃんとコンテンツをつくり、ネットだけで完結させずにリアルも含めてビジネスを構築する必要があるということが、花屋のサイトを例に解説されてます。

僕もネット業界でしばらく働いているので、やる前からこれは明らかに失敗するだろうという企画と出会ったことが何度もありますが、そういう企画を立案するのを避けられる本です。上手くいくかどうか微妙で失敗する確率が高いことがわかっているがあえて挑戦するのと、無知なことが原因であきらかに駄目なサイトを作るのは話が別です。
できるだ成約率を上げるためのサイトの制作や集客をどうするかといったテクニックの問題ではなく、そもそものビジネスのコンセプト設定を間違えないようにするべきということが本書を読めば理解できると思います。

ネットで儲ける王様のカラクリ ~物語でわかるこれからのWebマーケティング ネットで儲ける王様のカラクリ ~物語でわかるこれからのWebマーケティング
竹内 謙礼

技術評論社
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スケールするビジネスアイデア検討の参考になる 「Yコンビネーター シリコンバレー最強のスタートアップ養成スクール」

インターネット関連の仕事をしているので、動向に注目しているYコンビネーターについての本「Yコンビネーター シリコンバレー最強のスタートアップ養成スクール」が出ていたので読んでみました。参考になる本でしたので、起業家の方におすすめです。

Yコンビネーターはテッククランチなどのインターネットビジネス関連のメディアでよく取り上げられていますので、日本のスタートアップ業界でも注目している人が多い会社だと思います。

数十のスタートアップにまとめて少額を投資し、株式の数パーセントを取得し、創業者たちに助言をしたり、投資家を集めたイベントを開催したり、投資家や提携先を紹介したりといったことをしています。2,000社以上の応募の中から厳選した60社強の会社に同額を投資して、3ヶ月間はYコンビネータのパートナーや同期生が連絡を取り合いながらスタートアップをどう伸ばすかに試行錯誤していくという仕組みです。3ヶ月の最後に開催されるデモ・デーでは、すべての創業者と、投資を検討している数百人が集まり、1社あたり2分半でプレゼンして投資家にアピールする機会が与えられます。

マーケットが本当にあるのか?
市場規模はどれくらいか?
それは本当にスケールするビジネスになっているのか?

といったビジネスアイデアに関する助言が多いようです。3ヶ月期間がある中で、最初に持ってきたアイデアをそのまま続けるのではなくて、途中でまったく違うビジネスに変更するスタートアップもけっこうあるみたいです。

「スケールする」ということが急成長に欠かせないとしていて、労力に比例せずに成長できるというような意味です。以下のように表現されています。

プログラマーがウェブサイトのデザインについて助言するコンサルティング会社はスモールビジネスの開業であってスタートアップの起業ではない。しかしウェブサイトの構築を自動化して容易にするようなソフトウェアを開発する会社を作るのならそれはスタートアップの起業だ。
125ページから内容抜粋

このYコンビネータ創業者のポール・グレアムの定義でいえば、日本のいわゆるベンチャー企業でスタートアップのビジネスに該当している会社は半分もないでしょう。僕の経営している会社がやっていることも現状ではスケールしたビジネスではありませんので、スモールビジネスの開業に該当しています。スタートアップが資金を集めて一気にリスクをとって早めにエグジットを狙うのに対して、スモールビジネスはあまりリスクを取らずに少しずつ積み上げていって大きくしていくというものです。

本書の中でポール・グレアムが最初に参加者全員に、参加したスタートアップの半分以上は失敗するという説明をする場面あるのですが、その言葉からわかるように、当然失敗する人のほうが多いです。ただ、スモールビジネスにしても全体の会社の生存率が、5年で15%、10年で6%というデータから考えると、生き残る会社よりも潰れる会社のほうがはるかに多いので、失敗しても良いという気持ちでホームランを狙いにいったほうがいいという考え方があるのは納得できました。

グレアムは、ビジネスアイデアを生み出す方法として以下3点をあげています。

1.創業者自身が使いたいサービスであること
2.創業者以外が作り上げるのが難しいサービスであること
3.巨大に成長する可能性を秘めていることに人が気づいていないこと
127ページ

1番は意外と実践できてない会社も多いのかもしれません。すごくプログラミングの得意な2人組が、市場性だけを見てまったく興味のないファッションのサイトをつくるという例が紹介されてました。自分が便利だと思えるものを作れなかったらニーズと提供するものが乖離していくでしょうから、サービスはやはり広まりづらくなりそうです。

2番に該当するほど高度なことをできる人は、有名な大学で特定の分野に強い研究室に入って博士号を取るような人たちや、特定の業界で長年の経験がある人たちなどになるのでしょうが、該当する人と分野が両方揃うのは稀です。

3番目は探せば意外とたくさんあるので、そこを見つけて他よりもスピード感をもって一気にシェアを獲得するという戦略なのでしょう。そのために夏、冬とそれぞれ2,000以上もの会社のビジネスモデルを見て、よいものを探しているのだと思います。
Yコンビネーターの人たちはこの3ヶ条の中では、3番目に特に注力しているように感じられました。

Yコンビネーター   シリコンバレー最強のスタートアップ養成スクール Yコンビネーター シリコンバレー最強のスタートアップ養成スクール
ランダル・ストロス,滑川海彦,高橋信夫,TechCrunch Japan翻訳チーム

日経BP社
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着実に積み上がるビジネスで稼ぎつつ、少しずつスケールしそうなビジネスにも手を出していきます。
ファイナンスをして一気に市場を獲得するというのもプロジェクトごとに別の会社をつくって挑戦していきたいです。

常識に縛られていて踏み出せない、気づいていない収益モデルを発見する「俺のイタリアン、俺のフレンチ」

ブックオフの創業者の坂本孝さんによる「俺のイタリアン、俺のフレンチ―ぶっちぎりで勝つ競争優位性のつくり方」を読みました。

以前から俺のイタリアン、俺のフレンチなどのお店が繁盛しているという話は聞いていて、かつブックオフの創業者が経営しているというのも知っていたので、どういうお店なのか気になってました。たまたま本屋で見かけたので手にとってみました。

本書によると、俺のイタリアン、俺のフレンチのモデルは回転率を上げることで食材の原価を高くしてでも採算があうようにしているのが特徴だそうです。他の飲食店の経営者からすると儲かるはずがないと思うくらいの原価を設定し、通常平均20%、高くても30%以下におさえる原価率を、フードだけなら60%以上、ドリンクとあわせて50%程度にするという主旨のようです。回転率が肝なので立ち飲み形式となっていて、毎日3回転はさせています。
常識を疑って収支をシミュレーションしてみて、それを実行に移して成功しています。16坪の店舗で月商1,900万を超えているとのことで、すごい効率のよい店舗運営をされています。

ミシュランで星をとっているようなレストランで働いていたシェフを次々と採用していき、料理のクオリティを保ったまま、価格も劇的に下げて、消費者にとって魅力的な金額感となっています。客単価は3,000~5,000円程度のようです。「高級食材をじゃぶじゃぶ使う」ということが強調されていて、料理へのクオリティへの意識が伝わってきます。

競争優位性の記述についてですが、収益モデルの差だけでなく、オペレーションが洗練されていって少人数でもお店を回せるようになっている効率の良さも他社との差となっているとのことです。

69歳という年齢にして、新しいビジネスをたちあげて、真剣に取り組んでいるのは見習いたいです。現在の飲食の業態以外にいままで社員10名以上にして手がけてきたビジネスは合計12個あるそうで、中古ピアノの販売とブックオフ以外はすべて失敗して、2勝10敗だそうです。失敗しても新しいことを生み出し続けることが成功の秘訣なのだと思います。古本屋に続いて飲食店で業界を変革し、さらには2度めの上場まで予定しているということですごい経営者です。

あと読んでみて思ったのが、現場を大切にしているなということです。ご自身でも週3回お店に立っていると書かれています。
また、業態開発にあたって参考にした飲食店の名前がすべて記載されていて、それぞれのお店のどういうところがよいと考えて取り入れていったのかが都度説明されています。

お店はいまだに大人気のようで、毎月1日に翌月分の予約受付を開始するものの、その日のうちにすぐに埋まってしまうくらいの人気ぶりだそうです。

俺のイタリアン、俺のフレンチ―ぶっちぎりで勝つ競争優位性のつくり方 俺のイタリアン、俺のフレンチ―ぶっちぎりで勝つ競争優位性のつくり方
坂本 孝

商業界
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