サイバーエージェント社長の藤田さんの本「起業家」を読みました。

ユーザー中心の考え方に変わっていく過程や、人事のやり方を変更することで社内の雰囲気がどう変わったかなどが描かれていて面白かったです。アメーバに注力することを決めたものの、それからしばらくは現場任せにしていてまったく上手くいかなかったので、自分でテコ入れするべく、2年以内に黒字にならなかったら社長を辞めるという宣言までしてアメーバだけに集中していく様子がまとめられています。広告代理店部門が花型で、そのほかのサービスは傍流だという雰囲気があった状態から、社長自らが陣頭指揮をとることで少しずつ環境を変えていくまでの苦労がわかります。

この規模の会社ですら、社長が先頭にたってサイト内の変更や企画案の承認、ユーザビリティーに関する微修正などの指示をすべきという判断をして、それに徹底して取り組んでいるのが印象的でした。

いままで20名くらいはサイバーエージェントの方と会ってきましたが、優秀な人が多いという印象があります。採用や、文化や雰囲気のつくりかたが上手いのだと思います。この本でもその方法論の一端が垣間見えました。

起業家 起業家
藤田 晋

幻冬舎
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同世代のインターネット関連の会社の経営者と話すときに、いつまで現場について社内で最も詳しくあり続けるべきかという話題が何度も出てます。現場の細かい部分についてまで社長が最も詳しい状態というのは、その事業分野で優れた人材の採用が上手くいってなかったり、権限移譲ができていないということで、会社を大きくしていくうえでは間違った状態なのではないかという話です。

人によって大きく意見がわかれますし、取り組んでいる事業とその周辺環境によって最適な状態は違うので特に正解はないことはお互いわかっていながらも複数の経営者が同じ話題を振ってくるということは、みんな一度は考えることなのだと思います。
個人的にはウェブサービスにおいてはトップが細かいところまで把握して口出しをするのはアリだとは思います。1つのサービスに特化していて、会社全体の業績がそれに左右される場合は特にそうです。

僕は検索エンジンから集客するというSEOというビジネスをしているのですが、これについては誰にも負けないように細かいところまで詳しい状態をできるだけ保ちたいと考えていて、毎晩関連したブログやサイトを巡回して黙々と読んでいたりします。ただ、こうした取り組みが正しいかというとそうでもなくて、同業の社長の中にはあまり専門知識がない人もたまにいますが、そういう人でも自分の会社よりずっと大きく事業を展開している人は何人もいます。
そうした例に触れると時間をさくべきところを間違えているのかもしれないという考えになることがあります。将来的には蓄積したノウハウが役にたって事業でも追い抜けると考え学習を続けていてやめるつもりはないのですが、手段が目的化している面が一部あることも確かなので気をつけるようにします。また、組織の規模が大きくなってきたときにはいつか切り替えるべきタイミングがくるとは考えています。

幸いなことにSEOというジャンルにおいてはGoogleの仕組みが複雑化しているおかげで、真面目にノウハウを蓄積してきた会社や人が伸びそうな流れになってきてます。世の中の大きな流れや他社の動向で環境が決まることのほうが多く、自社でどうにかできる要素は少ないですが、突き詰めていく分野の寿命やトレンドはとても重要な要素です。会社としても個人としてもずっと同じような事業をしているので、いつまでも同じことにしがみついている状態に危機感を持ち、現状維持したくなる気持ちを捨てて早めに思い切って事業を転換しないと会社がなくなりそうです。

インターネットの会社はそこそこ優れた商品やサービスを出しても、それが新しく大きな市場を作りだして日本一、世界一になるくらいの規模でないと、どこかのタイミングでやることをまったく別のものに切り替えないといけないとやっていけなくなると思うのですが、自分自身の思考も組織の力学としても現状維持を無意識に選びたがるものでしょうから、意識して変えていくよう心がけます。