なぜ豊かな国と貧しい国が生まれたのか」を読みました。今年読んだ中でいまのところ最も面白い本でした。

世界経済の歴史から将来を予測するのに役にたつ本だと思いました。世界中を対象にして海外で仕事している方はぜひ読んでみてください。

労働コストが高い国では、労働を削減するための技術導入のインセンティブが生まれて生産性が向上して経済成長していき、一方で労働コストが低い国では技術発展のインセンティブが生まれず、現状維持をしてしまい、機械化・自動化により生産効率の差が大きくなりすぎた時点でその産業は駆逐されるというような話がまとまっています。

経済発展をするための主に各国の政府がとってきた方法として以下がまとめられていました。

国内の地域間の関税を撤廃し、交通インフラを整備することで国内市場の統一する
普通教育を一般化し、識字率や計算能力を高める
自国産業保護のための関税や制度を用意する
産業に必要なだけの資金が行き渡るようにするための金融インフラを整備する

日本、ソ連、台湾、韓国などの西欧に追いつくことができた国がなぜ急激なペースで経済発展できたのかがまとまっているのも参考になりました。
国が主導で計画経済を行う必要があるという話です。将来の需給の状況を予測して、現状では必要とされていない産業を複数同時に先に創りあげなくてはならないという主張です。例として、効率のよい製鉄所を作るためには国内での需要をある程度押し上げて1つ1つの製鉄所の生産量をある程度の規模にまでする必要があり、そのためには自動車や建築などの産業を同時並行で発展させていかなければならないというのが取り上げられていました。

労働コストの向上によって機械化のインセンティブが高まり、結果として労働生産性があがっていくという話は、モノを運ぶのが現在よりも大変だった時代により強く現れた現象だと思います。また物流コストが生産コストとくらべて無視出来るほど小さくなった産業や、そもそも物流が必要ない産業には当てはまらないかもしれません。国内で機械化して生産性を上げなくても、近隣国でより安いところから輸入すればよいためです。その結果として先進国においては技術革新よりも、国外への産業の流出、空洞化が多く起こっているのが現状だと思います。

いまは世界中の技術力の差が以前よりも小さくなっているので、どの国の企業でも最新技術を駆使した機械と、安価な労働コストでよりよいほうを選択できるようになっていますが、機械化よりも安価な労働コストを選ぶほうが合理的だと思います。人間にできない作業であれば別ですが、ほとんどの製品は機械で自動化するよりも、海外に工場つくってそこで製造して運んできたほうが経済的だからです。

物流の発展や関税障壁の撤廃による貿易のコスト減や、モノを取り扱わないビジネスの増加によって、本書で説明されているような国や場所ごとの比較優位による産業の住み分けがどう変わっていくのかが、今後の世界経済の発展のしかたを予測するうえで鍵になるような気がします。

なぜ豊かな国と貧しい国が生まれたのか なぜ豊かな国と貧しい国が生まれたのか
ロバート・C・アレン,グローバル経済史研究会

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