模倣の経営学―偉大なる会社はマネから生まれる―を読みました。

さまざまなケーススタディを例にビジネスにおいて模倣して成功する方法について説明されています。KUMONを例として、表面だけ見ると簡単に真似できそうなのに実は同じオペレーションを維持するのがすごく難しいビジネスが長期間優位性を保てるというのが説明されていて参考になりました。

競争の少ない市場で勝負するためにも、できるだけ他がやっていないビジネスをするのはビジネスの基本だと思うのですが、この本では他の企業の真似から入ってオリジナリティを足すほうが効率的な場合もあるということを説明しています。

模倣の対象を社内と社外、肯定的に参考にするか否定的に参考にするかで以下の4タイプに分けています。

社外、肯定的 単純模倣

社外でかつ肯定的に捉えるのは単純模倣と分類しています。
トヨタがスーパーマーケットの品出しを模倣してジャストインタイムの仕組みを作り上げていった例や、スターバックスやドトールがどうヨーロッパのカフェを参考にしていたかが紹介されています。

サウスウエストというLCC(格安航空会社)を模倣することで、ライアンエアやエアアジアといった会社が派生していきLCCのマーケットができていったというケースもありました。

社外 否定的 反面教師

他社の失敗を参考にして、同じ轍を踏まないようにしようという分類です。
他社にできていないことを探すときに有効な方法です。

例としてマイクロファイナンスのグラミン銀行がとりあげられていました。通常の金融機関は企業などの信頼性が高く、貸出額の大きくなるところだけを対象として、かつ担保をとって融資するという仕組みでしたが、グラミン銀行はそれを反面教師として、貧しいを個人を対象として小さな金額を担保なしで貸し出すことで新しいマーケットを創出したという話です。

社内 肯定的 横展開

社内で成功している方法を参考にして、他の事業にも同様に導入していくことを指しています。
ジョンソンアンドジョンソンは包帯などの使い捨ての医療関連商品で成功した会社ですが、社内のある技術を活用することで、いままで長期間使用し続けることが前提だったコンタクトレンズを使い捨てで販売することに成功し、大きなシェアを獲得しました。

社内 否定的 自己否定

社内で過去に失敗した例を参考にして、それを繰り返さないようにすることです。
有名な書籍と映画「マネーボール」の題材となったメジャーリーグのオークランドアスレチックスが紹介されています。お金がない球団においてどう選手を獲得すれば勝てるチームになるかということを考えたジェネラルマネージャーが、いままでのスカウトの経験を元にした選手の選択方法を否定して、セイバーメトリクスという数字を根拠とした手法に切り替えることで勝率をあげていきます。いままでのやり方と大きく違うことをするので、組織内から反発も発生するのですが、それらを抑えこんで改革を進めていきます。

守・破・離の考え方も参考になりました。
まずは愚直なまでに真似をして模倣元のやり方を守り、そのあとに自社の状況やニーズにあわせてそれを破り、独自性を追加して元の状態から離れていくというものです。

事例集として面白い本でした。著者の井上達彦さんの論文が以下にまとまっているようですので、あわせてどうぞ。
研究活動 : 早稲田大学 アジア・サービス・ビジネス研究所

模倣の経営学―偉大なる会社はマネから生まれる― 模倣の経営学―偉大なる会社はマネから生まれる―
井上達彦

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本書は書籍を参考に事例を集めているのですが、名著がたくさん紹介されています。
僕も何冊か読んだことがある本が紹介されていたのですが、以下は特におすすめです。

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