小室直樹の中国原論は中国の人たちの行動様式について非常に詳しく説明されている良書です。

なぜ中国に進出する外資企業が現地で失敗するかという理由が説明されています。中国企業と取引する前に読んでおくとよいかもしれません。

中国で契約が守られないのは、契約が会社同士のものとして抽象化されておらず、人間関係のほうが優先されるからというような説明がされてます。絶対的な信頼関係のある仲間の輪に加わることができれば契約書などなくても約束が守られるのに一方で、人間関係が醸成されていない段階では契約などあくまでもこれから交渉を開始する前段階でしかないというようなことがまとめられています。

中国では特定集団内の規範が社会の普遍的規範よりも優先する(ことがある)。
94ページ

つまり、法律や商慣習といった普遍的な規範が他のすべての規範に優先するのが一般的であるが、中国においてはそれよりも個人間におけるギブアンドテイクのほうが優先されると説明されています。

しかも、そのギブアンドテイクに至るまでに、まず幇(ホウ)や情諠(チンイー)といった人間関係の輪の中に入れてもらわなくてはいけないと説きます。輪の中に入っていなければ、契約しようが賄賂をわたそうがまったく効果がない可能性すらあると。

そのほかにも宗族という独特の共同体や、韓非子が源流となっている法家の思想などがいかにして中国社会に影響を与えているかが解説されています。

中国の歴史や行動様式を理解するための解説書としてはすごくいい本でした。
おすすめです。

小室直樹の中国原論 小室直樹の中国原論
小室 直樹

徳間書店
売り上げランキング : 10795

Amazonで詳しく見る

「三国志」、「史記」をはじめとした歴史書や、さまざまな史実からその法則性を論拠としているのですが、本当に現代の人たちもその流れを汲んでいるのかという点が個人的には気になりました。